杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

宮崎ひとり旅vol.1 宮崎市「宮崎神宮」

そもそもは長崎と佐賀へ行く予定だった。

西九州新幹線が開通したからではないけども、神社めぐり全国制覇に向けての訪問であり、有給を使っての4連休はここ!と決めていた。ところがいざ神社を探しても心の琴線に触れる宮なく、せいぜい長崎県下最古級の本殿を有する「大宮姫神社」ぐらいのもので、ならば一宮と思っても、二の次三の次の一の宮を東京から大枚叩いてまで参るのは何だか気が乗らなかった。

 

そこでたまたま宮崎を調べていたら、神武東遷や文化財を有するいい塩梅の社を発見。私は九州の西側と東側に鎮座する社風に差異を感じつつ、高千穂や歴史を重ねた社が次々に見つかったのを機に、もはや行かずには居られない、そういう衝動をもって、ここに初の宮崎訪問となったのである。

 

ここからは備忘録も兼ねて書き留めておく。

私は九州旅行の際、必ずと言っていいほど成田からジェットスターを利用するのだが、成田ー宮崎便の時間が悪く、宮崎へ着いても社務所の閉まる時間とあって、早朝便のある羽田発のソラシドエアを利用した。これなら朝9時前には現地入りできるし、のんびり向かったところで10時には宮崎神宮へ着く。その分かなりの出費にはなったが、時間的余裕と効率も考えて宮崎縦断の贅沢な旅が実現できたのである。

 

広大な神苑に踏み込む

さて、私は「宮崎ブーゲンビル空港」から直結する「宮崎空港駅」発着の電車に乗り、4駅「宮崎神宮駅」で下車。そこから目的地まではもう目と鼻の先だ。徒歩5分ほどで神宮東参道へ到達。神苑を目前にすると、大きな社であることに気付かされる。天候にも恵まれ、神苑の緑がまたよく映える。そして、もう11月というのにツクツクボウシが鳴いている。まったく驚いた。少し歩くだけで汗ばむ陽気というのは、気温一桁の高千穂用にと用意したダウンジャケットを来ているからで、こんなものとてもじゃないが着てられないと私は早々にリュックへ押し込んだ。薄着の長袖か、なんなら半袖でもいい。ずれ落ちる長袖を捲りに捲って、私は宮崎神宮へ踏み込んだ。

 

参道を歩むにつれ参拝者が増えてきた

参道は広く、長く、両脇の灯籠の角張ったデザインや道すがら石橋の形まで、近代の神社景観そのものである。斯界の人間なら分かるだろうが、この様相「明治神宮」や「熱田神宮」にも似通ったものを感じる。社殿へと近づくにつれ、子ども連れの参拝者が増えてきた。ここへきてようやく、七五三シーズンであったことに気付く私であった。なるべく人の少ない景観をカメラに収めたい私にとって、ひっきりなしに正門を潜り、絶え間なく記念撮影が行われる現場は全くもってイレギュラーそのもの。ああもう少し早く参拝できればなんて悔いてみても、フライトの時間的制約があるし、(参拝を)2日目に回そうと思っても、巡拝の都合上難しい。私は仕方なくなるべく人が切れる頃合いを見て社殿を撮影した。

 

青空と相性の良い宮崎神宮

それにしても青々とした広い空と実に相性の良い清らな社殿群である。

端正な出で立ちで無駄な装飾などまるで無く、樹齢数百年の狭野杉をベースに緑青色の銅板屋根が青空の下際立っている。鰹木や千木から伝う雨水の跡ですら味わいと感じさせるのは、草一つ生やさぬような穢れなき環境と、周囲の付属社殿等景観によるものだろう。本当は神殿のすぐ側まで行けたら嬉しいのだけど、垣を巡らし、幣殿・拝殿等の大きな建造物が立ち塞がっているので神殿(本殿)までは拝見できない。決して神殿を拝めなかったからという訳ではないが、多くの参拝者に気を取られてか、参拝前に思い描いていた宮崎神宮とのギャップを感じつつ私は神苑を出た。広大な境内に青空と緑を仰いでいると、思っていた以上に時間は食うもので、もし時間があればと考えていた「皇宮神社」へ行けぬほどゆっくり拝観してしまった。

 

素朴な味噌ラーメンをぺろり

この埋め合わせではないけれど、私は昼食にラーメンをすすり、腹を満たしたところで次なる目的地へ、バスの到着を待っている。