杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

島根ひとり旅vol.2 隠岐郡隠岐の島町「玉若酢命神社」

隠岐の海 明くる日、西郷港の岸壁からカメラを構えた。魚の臭気と潮の香りが漂う久方振りの波止場に立ち、対岸のまだ黒き山並みを眺める。風は一切なく、海面は鏡面のように波一つない。表層を漂うアオリイカをしっかりと目視できるほどに、それはそれは静か…

島根ひとり旅vol.1 隠岐郡隠岐の島町「水若酢神社」

境港から隠岐の島の西郷へ向かう高速船・レインボージェット 屋内から一歩たりとも出られぬような酷暑の中、私はコンビニのイートインを目指し2キロ以上もの道のりを歩いた。境港周辺には安価で手軽な食事処がなかったからであるが、隠岐の島へ行く前に体力…

長野ひとり旅vol.3 塩尻市「小野神社」

小野神社 社殿 信濃国二宮「矢彦神社」と「小野神社」は一見すると同じ社地(境内)でありながら、全く別の神社である。矢彦は壮大な神楽殿と神木が存在感を放つ一方、小野は傾斜を生かした庭園が印象に残る。両社とも御柱を有し、拝殿等の型は違えど同じ規…

長野ひとり旅vol.2 上伊那郡辰野町「矢彦神社」

平田駅駅舎 平田駅を見ると、2年前の1月。寒さでブルブル震えながら列車に乗り込んだあの時を思い出す。あれは安曇沓掛(あずみくつかけ)、「仁科神明宮」を目指したときか。まだ夜の明けぬ暗がりの中駅舎に入り、プラットホームでコーンスープを手に身体…

長野ひとり旅vol.1 上田市「塩野神社」

別所温泉の町並み 私事だが、丁度この頃「日展(日本美術展覧会)」への出品があって随分と懐の寂しい思いをした。今頃は月山に登訪問、ふうっと息をついたり、高山植物を眺めては目を輝かせていただろう。ひょっとすると、悪天候により下山を余儀なくされて…

京都ひとり旅vol.4 京丹後市「竹野神社」

京都丹後鉄道「網野駅」 10時20分、峰山から一駅。網野からレンタサイクルを利用し、最後の目的地「竹野神社(たかの)」へ向かった。そういえば、この旅を「海の京都」と称して巡拝してきたが、結局海を拝んだのは、この竹野神社へ向かう一遍でしかなかった…

京都ひとり旅vol.3 京丹後市「比沼麻名為神社」

「ひぬまない」という、変わった名前のお宮が峰山にある。 比沼麻名為神社 社頭 白い鳥居に白い砂利、白い社標が目につくこの宮は、村の奥山中にひっそりと佇んでいる。神社特集なんぞで語られぬ知る人ぞ知る宮ではあるが、実は伊勢神宮の外宮こと「豊受大神…

京都ひとり旅vol.2 京丹後市「金刀比羅神社」

峰山駅の橋上から宮津方面を望む さあ、峰山だ。こんぴらさんだ。 金刀比羅神社と境内にある木島神社 少し遅めの昼食にラーメンをすすり、私は「金刀比羅神社」を目指した。 先にも書いたように、猫も人間も食べられるという風変わりな猫缶を求めて訪問した…

京都ひとり旅vol.1 亀岡市「出雲大神宮」

神戸三宮駅 近頃は行き先が決まった後に変更するパターンが多い。 この旅もはじめ兵庫を予定していたものが京都方面へ完全にシフトしてしまった。忘れないようにメモしておくと、元はと言えば加東市の「住吉神社(上鴨川住吉神社)」を第一に訪問し、その後…

岡山ひとり旅vol.1 岡山市「吉備津神社」

岡山といえばこの桃太郎像 桃太郎伝説は「吉備津神社」に由来する 学生時代の友人と久々の会食とあって、早めに五日市を発ち岡山へ向かう。夕刻まで時間があるので、レンタサイクルを利用し「吉備津神社」へ参拝した。当社へは3回目の訪問だが、初見の初詣…

熊本ひとり旅vol.5 人吉市「岩屋熊野座神社」

岩屋熊野神社へ自転車で向かう 人吉は熊本の中でも国の重要文化財に指定された建造物が多くあり、先ほど訪問した「老神神社(おいかみじんじゃ)」に加え、「岩屋熊野座神社(いわやくまのざじんじゃ)」もその一社である。私は胸川を横目に自転車を漕いで行…

熊本ひとり旅vol.4 人吉市「老神神社」

青井阿蘇神社から老神神社へ、球磨川を渡る この旅のメインイベントこと「青井阿蘇神社」へ参拝し、お土産を買いに「人吉温泉物産館」へ。そして、途中キジ馬が欲しくなり「宮原工芸」へとお邪魔した。まだ日は高く、あらかじめ組んでいた旅程より早いペース…

熊本ひとり旅vol.3 人吉市「青井阿蘇神社」

門前に立つ 「青井阿蘇神社」は人吉駅から徒歩15分ほどの場所に位置し、日本三大急流の一つ球磨川のほど近い所に鎮座している。街中に座しながら桃山時代の建造物が立ち並び、かつ重厚な茅葺屋根がどこか郷愁を誘っている。お寺ともお宮とも言い難いのは、…

熊本ひとり旅vol.2 球磨郡相良村「十島菅原神社」

十島菅原神社社頭 山田大王神社から南へ自転車を走らせ40分ほど、また茅葺の神社へ参った。 旅が終わっても、結局人吉に茅葺神社が多い理由は分からなかったが、自転車で数社廻れるほど密集しているのは全国でもここぐらいなものだろう。おかげで人吉に密…

熊本ひとり旅vol.1 球磨郡山江村「山田大王神社」

九州はとにかく雨が多く、思い返してみても眼鏡橋で雨に打たれ、国東半島で驟雨に当たり、牧聞と新田は台風でおじゃん。博多の住吉も雨であった。 そして今回も、阿蘇熊本空港では横殴りの雨が吹き荒び、禊の雨などと呑気に構えていられる状況ではなかった。…

秋田ひとり旅vol.4 雄勝郡羽後町「三輪神社」

三輪神社社頭 横手の西方に「波宇志別神社神楽殿(はうしわけじんじゃかぐらでん)」という壮大な殿がある。神楽殿ながら柱が太く、さながら正殿とも言えるような存在感がたまらない。その上周囲の緑とのコントラストがまたいい味を醸し出している。これを是…

秋田ひとり旅vol.3 仙北市「金峰神社」

JR田沢湖駅へ到着 田沢湖の宿とは、田沢湖と言う土地(あるいはその近辺)にある宿という意味である。 東京の人間が地名(地名かどうか怪しいのもあるが)を駅名で言うように、上京8年ともなると地名を駅名で呼ぶ癖がついてしまった。だから前日に訪れた「…

秋田ひとり旅vol.2 秋田市「古四王神社」

30で故郷を発ち、遠くみちのくを旅した江戸後期の旅人・菅江真澄(すがえますみ)は、76で没するまで一度も故郷に帰ることはなかった。その終焉は現仙北市の角館とも梅沢(田沢湖町)とも言われているが、地誌を書き終えた文政12(1829)年6月か…

秋田ひとり旅vol.1 秋田市「日吉八幡神社」

秋田県立博物館 山形を訪れてから益々東北に興味が湧き、江戸時代の旅人・菅江真澄(すがえますみ)との出会いをきっかけに私の秋田行きが決まった。新宿から高速バスで秋田へ入り、「秋田県立博物館」の菅江真澄資料センターへ訪問。そののち秋田市街に鎮座…

山形ひとり旅vol.3 南陽市「熊野大社」

赤湯の宿から 翌日赤湯の宿で目を覚ました。 日の出前のまだ薄暗い中で遠くの宅地の壁に回転灯が反射して光っているのが見えた。人が町が起きる前に除雪しようということで早朝から除雪車が繰り出しているのである。しばらくすると小型の除雪機を持って駐車…

山形ひとり旅vol.2 飽海郡遊佐町「鳥海山大物忌神社(吹浦口ノ宮)」

遊佐(ゆざ)と比し、吹浦(ふくら)の雪は随分少ないように見えた。 蕨岡の雪山を歩いたから目が慣れたというのもあるだろう。 吹浦駅へ到着 私は吹浦駅でホットココアを買い求め、暫し暖を取ることにした。それにしても寒い。無人駅とあってか暖房器具は一…

山形ひとり旅vol.1 飽海郡遊佐町「鳥海山大物忌神社(蕨岡口ノ宮)」

「鳥海山大物忌神社蕨岡口ノ宮」の最寄駅 遊佐駅 社会人となった今も雪にときめいて、私は山形の遊佐(ゆざ)という町を訪れている。 ただこの旅は雪がメインではなく、どちらかといえば都会の喧騒から逃れたいという思いが強かった。だから別に小馬鹿にする…

岐阜ひとり旅vol.2 高山市「日枝神社」

日枝神社鳥居と奥へ続く石段 飛騨国一宮の参拝後は、岐阜方面へ降って麓の社へ参る予定も立てたが、高山が想像以上に奥地であり、電車の本数も少なく、例えば一日で水無神社と南宮大社を廻ることなど電車では無理があった。そのため、後者を翌日にまわし、高…

岐阜ひとり旅vol.1 高山市「水無神社」

背中に大きなリュックを背負い、慌ただしく職場の扉を開けて出て行く。リュックの中身は二日分ほどの着替えがほとんどで、アメニティポーチに自撮り三脚棒、携帯電話の充電器に旅のノート。それに少しばかりの食品を押し込んで、極め付けは2冊の御朱印帳で…

富山ひとり旅vol.3 南砺市「高瀬神社」

相も変わらず、今日も快活クラブから一日が始まる。 ともすればホームレスのようとも思えるが、一応の身なりは整えているし、7キロもあるリュックを背負う姿は他ならぬ旅行者である。 万葉線「市民病院前」の一景 路面電車ってなんだか叙情的だ この日は万…

富山ひとり旅vol.2 高岡市「氣多神社」

高岡市内 射水神社のあと、再度高岡駅へ行きレンタサイクルを利用して氣多神社を目指す。 バス発車まで待ちきれず、たまたま駅構内で見つけた1日一回300円のレンタサイクルに目を奪われた。ヨシ!予定変更だ。気の赴くままにふらふらと自転車を漕いで行く…

岩手ひとり旅vol.4 奥州市「駒形神社」

遠野に別れを告げたはずなのに、まさかこんな形でご縁があろうとは。 …というと大袈裟なのだが、私はこの岩手旅を2部作のように、初日を遠野「早池峯(はやちね)神社」「荒神(あらがみ)神社」「六神石(ろっこうし)神社」、二日目に陸中国一宮「駒形神…

富山ひとり旅vol.1 高岡市「射水神社」

昨年以来久々に夜行バスを利用し、二日ほど富山へ参った。 瀬戸内地方出身の私は、東北以北や北陸圏とはまったく縁がない。首都圏へ向かうための寄り道もなく、修学旅行や親類にも縁のない地域であるからこそ、今旅は私にとって新鮮である。北陸へは昨年(20…

岩手ひとり旅vol.3 遠野市「六神石神社」

荒神神社の近くを流れる中沢川の川畔を登ると「六神石(ろっこうし)神社」というお宮がある。当社は遠野三山の一つ、六角牛山(ろっこうしさん)の麓に鎮まり、住吉三神・息長帶比売命・大己貴命を祀る。 中沢川沿いを進む 荒神神社からは車で5分ほどで、…

岩手ひとり旅vol.2 遠野市「荒神神社」

「いやぁ、おかげさまで快適でした。 レンタサイクル も利用したいのですが、よろしいでしょうか…」 駅前の観光案内所 レンタカーやレンタサイクルを利用できる 受付の人が、一瞬えっ⁈ と固まったように見えたのは私の被害妄想か。 それもそのはず、8時30…