杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

【千葉】下総国一宮「香取神宮」の見どころと御朱印

f:id:horo1332:20181020221609j:plain【2018年8月25日(土)奉拝】
千葉県香取市に鎮座する「香取神宮(かとりじんぐう)」は、経津主神(ふつぬしのおおかみ)を祀る下総国(しもふさのくに)一宮です。明治以前は、「伊勢神宮」(三重県伊勢市)と同様の「神宮号」が与えられた古いお社です。社名に神宮が付く神社は今でこそ幾つかありますが、明治以前は「伊勢神宮」のほか、「香取神宮」と「鹿島神宮」(茨城県鹿嶋市)の三社しかありませんでした。


黒漆をベースとした拝殿は、決して古い建築ではありませんが、所々に金箔と極彩色を配し、一ノ宮らしい荘厳さを醸し出しています。

 

 

①東京からのアクセス

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東京から香取神宮へ行く場合、高速バスがおすすめ!


「東京駅(八重洲南口)」発 鉾田行き → 「香取神宮」着 

 ・所要時間:1時間11分

 ・運 賃 :1,750円

 

バスなら自分で運転する必要がありませんし、乗車中1時間もあれば、これから行く神社の予習ができますよね。何より香取神宮の境内は広く、見どころも多いので、エネルギーを温存するためにも高速バスがいいんです。(1日で鹿島神宮も行くなら尚更に!)

 

香取神宮の鎮座地

 

香取神宮の見どころ

香取神宮の見どころ、5箇所あります。

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 ⑴香取神宮社叢

 ⑵朱塗りの楼門(国指定重要文化財

 ⑶拝殿

 ⑷奥宮(おくのみや)

 ⑸要石(かなめいし)

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 ♦︎境内図♦︎

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⑴表参道の社叢(しゃそう) 

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二の鳥居から始まる表参道の社叢は、香取神宮の杜の中でも特に風情があります。
参道に連なる土産屋の賑やかな様相も、朱塗りの鳥居をくぐれば一変します。

 

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二の鳥居から三の鳥居までは、300メートルほどでしょうか。
参道の両側には桜や楓が植えられており、春と秋には参拝者の目を和ませてくれます。

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私が訪問した時は、8月の夏真っ盛りでした。
雲ひとつ無い青空に、夏の陽光がギラギラ照りつけ、楓の葉が綺麗な黄緑色をしています。

 

 

⑵朱塗りの楼門(国指定重要文化財

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総門をくぐり、手水舎で身を清めてからいよいよお参り。
その前に朱塗りの楼門が立ちはだかります。


この楼門は、本殿と同じく元禄13(1700)年に徳川5代将軍綱吉公により造営されました。

 

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上部には、日露戦争日本海海戦)で著名な東郷平八郎元帥が書いた額が掛けられています。余談ですが、二の鳥居の前にある社標も東郷元帥の豪快な筆です。

この楼門は、左右の回廊と周囲の緑に支えられ、環境ともに安定感があり、大変気持ちの良い雰囲気を漂わせています。

個人的な感想ですが、後に訪問する「鹿島神宮」の楼門よりおすすめですね。

 

⑶黒漆の拝殿(国登録有形文化財

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朱塗りの楼門とは対照に、拝殿は黒漆塗りで荘厳な雰囲気を醸し出しています。
黒漆の中、所々に彩色を施しており、屋根の桧皮葺(ひわだぶき)が社殿の印象を重くなりすぎないよう調和を保っているように見えます。


こちらの拝殿は、実は昭和15(1940)年建造と神社の拝殿としては比較的新しく、紀元2600年を祝して建て替えられました。

 

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このような事業は決して珍しいことではなく、地方の神社でも境内が拡張されたり、新たに瑞垣が造られたりするケースがあります。しかし、香取神宮は一宮ですので、拝殿の建て替えは当社にとっても大きな事業になったことでしょうね。

ちなみに、元の拝殿は「祈祷殿」として活用されています。

 

⑷奥宮

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奥宮は経津主大神(ふつぬしのおおかみ)の荒御魂(あらみたま)を祀っており、旧参道中程にあります。

正直なところ、香取神宮の正殿のインパクトがありすぎて、こちらの奥宮は祭りの後の寂しさのようなものを感じます。とても静寂な場所ですので、思わず小さく拍手を打ってしまいます。

 

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静と動という言葉がありますが、時にはこういう場所に身を置き、自分を見つめてみるのもよい機会かもしれません。

 

心は留めていても、自然はたえず流動的で、杜の中で蝉の声が響き渡ります。

 

⑸要石(かなめいし)

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要石は、地中奥深くで地震を起こす大ナマズの頭尾を抑えていると伝えられる石。
100年以上前の絵葉書でも度々登場する当社の名所の一つです。

香取神宮の要石は、頭頂部が出っ張っている(凸形)のに対し、鹿島神宮は凹んでいます(凹形)。


ところで、この要石が地中奥深くまで埋まっているというのは果たして本当なのでしょうか。この疑念を抱いたのは水戸光圀公も同じで、貞享元(1684)年、当社を参拝した際に大掛かりに掘らせたようですが、根元を見ることが出来ず諦めてしまったというエピソードがあります。

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御朱印

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初穂料は300円だったでしょうか。
拝殿右手の授与所にて頂きました。

 

朱印の上に社名の揮毫がない為シンプルかもしれませんが、これが本来の御朱印であり、「伊勢神宮」(三重県伊勢市)や「出雲大社」(島根県出雲市)も社名の揮毫はありません。

神聖な朱印の上に、墨を入れるのは神社の自由でしょうが、果たして・・・。
ちなみに、滋賀の「油日神社」(滋賀県甲賀市)では、社名の有無を選べるようです。

 

 

⑤昭和初期の香取神宮(絵葉書)

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香取神宮の「旧参道」で、昭和7(1932)年以前に撮影発行された絵葉書。

石段を登ると右手に「総門」、左手に「楼門」があります。

 

 

⑥参拝した所感

神社の散策と写真撮影。そして静寂な環境で、荘厳な社殿を見上げながら、巧みな渋い彫刻でも拝観して、ただ茫と思索に耽り、一人悦に浸る。

そんな趣味を持つ私にとって、初詣客の多い1月はどこか落ち着かない参拝となってしまったのでした。

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あれから7ヶ月が経ち、ようやく満足な参拝ができました。


社殿の周りをじっくりと拝観し、あっちへこっちへ右往左往。
私は境内をくまなく廻りました。

 

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念願の御朱印も頂き、私は次なる「鹿島神宮」へ。

参道でタクシーを捕まえます。

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「あの、香取駅まで時間はどれくらいかかりますか???」

 

「・・・間に合うかなあ」

 

タクシーの運ちゃんは、最寄駅である香取駅までの所要時間と、鹿島神宮駅行きの発車時刻、そして私が鹿島神宮へ行くことを見透かして言ったのでした。さすが!
香取神宮鹿島神宮は鎮座地が近いため、一度に参拝する人が多いのです)

 

「このまま、鹿島神宮まで行った方がいいんじゃないの?」

 

・・・なんて言われましたけど、とんでもない!

五千円札なんて、ポンっと飛んで行っちゃいますよ笑

 

ともあれ、香取駅まではタクシーへ乗車。難なく電車にも乗れ、本命の鹿島神宮へ到着したのでした。そしてこの鹿島神宮が、本当に素晴らしい神社なのです!

また改めて紹介しますね。