【2018年11月4日(日)奉拝】
群馬県高崎市に鎮座する「榛名神社」は、榛名山(はるなさん)の神を祀る上野国六宮です。延長5(927)年、当時官社に指定されていた全国の神社一覧である『延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』に当社が記されており、古くから神仏習合が定着した神社の一つです。
また、重要文化財に指定された建造物をはじめいくつもの奇岩があり、関東屈指の景勝地として人気の高い神社です。
①鎮座地(アクセス)
※バス
・JR「高崎駅」西口から群馬バス「本郷経由榛名湖行き」に乗車。
1時間1本で運行。乗車時間は約70分。「榛名神社前」下車、徒歩約15分。
※車
・関越自動車道「高崎IC」、「前橋IC」から約1時間。
(駐車場あり)
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②見どころ
榛名神社の見どころ、10箇所あります。
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⑴随神門(国指定重要文化財)
⑵三重ノ塔
⑶瓶子の滝(みすずのたき)
⑷矢立杉(やたてすぎ)(国指定天然記念物)
⑸神幸殿(みゆきでん)(国指定重要文化財)
⑹双龍門(そうりゅうもん)(国指定重要文化財)
⑺本殿(国指定重要文化財)
⑼国祖社及び額殿(国指定重要文化財)
⑽歴史民俗資料館
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♦︎境内図♦︎
⑴随神門(国指定重要文化財)
榛名神社で最初に迎えてくれる建造物が、弘化4(1847)年に建てられた随神門です。現在は随神像が安置されているため随神門と呼びますが、明治の神仏分離が行われる前までは仁王像が安置された「仁王門」でした。
現在の随神像は、明治39(1906)年の丙午還暦大祭のときに祀られたものです。
写真のように、ここで拝観時間の看板がありますので、よく確認しておきましょう。
(御朱印受付時間も出ていれば要確認です)
頭上には神額と千社札が見えます。
千社札は近世あるいはそれ以後に参拝者が貼り付けたもので、長い棒の先にローラーが付いた特殊な道具を使うのだそうです。当たり前ですが、千社札の貼り付けは現在は禁止されています。
⑵三重ノ塔(神宝殿)
神社には珍しい仏塔があります。
明治の神仏分離令の影響で取り壊しの運命にあった三重塔は、一層に神棚を置き、神宝殿(または五柱社)とすることで破却を免れました。
一層の屋根の四隅には千木(ちぎ)と鰹木(かつおぎ)が設置され、祭神を祀る神社であることを表しています。
ちなみに、この三重塔を撮影する際は、上の1枚目の撮影場所からが最も綺麗に写せます。逆にここ以外では鳥居が邪魔したり、極端に被写体をアップしてしまうので上手く撮影できません。
⑶瓶子の滝(みすずのたき)
手水舎のあたりから見える滝は、滝の左右の岩を瓶子(みすず)に見立て、そこから流れ出ている様子から「瓶子の滝」と呼ばれています。ただ、私は石段を少し登ったところから撮影したので、瓶子とは言いにくいですが。
⑷矢立杉(やたてすぎ)(国指定天然記念物)
手水舎の手間にある矢立杉は、武田信玄が戦勝祈願のため矢を射立てたという言い伝えがあります。目通りで9.4メートルあり、推定樹齢は600年だそうです。
これだけの大杉になるには、この場所が生育環境として適していたからでしょうね。
樹高は55メートルあり、もちろんカメラに収まりません。
⑸神幸殿(みゆきでん)(国指定重要文化財)
春の大祭である神幸祭のときに、御神体が一時的に移される場所がこの神幸殿です。祭の期間は扉が開けられ、昇殿して参拝できます。
現在の建物は安政6(1859)年に再建したもので、古式に則って彩色を施していません。
⑹双龍門(そうりゅうもん)(国指定重要文化財)
榛名神社といえばこの建物が思い浮かぶほど、岩山をバックにした「双龍門」と石段の景色は有名です。双龍門は、扉や天井に龍が施されていることからその名で呼ばれています。
この場所は紅葉が美しく、また十分な撮影スペースがあるため休憩しながらカメラを向ける方を多く見受けられます。
参道が狭い上に往来が激しいので、ゆっくり撮影することが難しい場所です。
こじんまりとした門には、彫刻がびっしり施されています。
現在の双龍門は、安政2(1855)年の建築です。
もとは楼門が建っており、文永5(1268)年の梵鐘(ぼんしょう)があったと伝えられています。
⑺本殿(国指定重要文化財)
文化3(1806)年建立の社殿は、本社に幣殿と拝殿を連結した権現造という建築様式で、随所に龍の彫刻を施した拝殿は壮観です。
この日は紅葉シーズンとあって参拝者が多く、石段近くまで列ができていました。
柱と社殿を繋ぐ虹梁(こうりょう)には、これでもかと言わんばかり龍が巻き付いています。古色を帯びた赤色がどこか異国を感じさせます。
この彫刻を製作したのは、関口文次郎有信(せきぐちぶんじろうありのぶ)という人物です。文次郎は榛名神社の彫刻を完成させた年に引退しているため、当社の彫刻が最後の作品ではないかと言われています。
本殿は背後の御姿岩(みすがたいわ)の岩窟にめり込むように接しています。
つい社殿ばかりに目が行きがちですが、頭上の御姿岩をよく見てくださいね。
幣殿などで見られる御幣が3本立てられており、榛名神社で最も重要な場所です。
蛇足ですが、この3本の御幣を鳥居の笠木に取り付けた「榛名神明」という鳥居が存在します。この鳥居は、伊香保から榛名地方に限定して見られる郷土型の鳥居なのですが、100年程前と比べ今はめっきり減ってしまった珍しい鳥居です。
・・・御姿岩の御幣を見て思い出した鳥居の雑学でした。
本殿に向かい合うように建てられている神楽殿は、神楽が神に向かって奏上することから、舞台の高さを幣殿の床の高さと合わせるように造られました。明和元(1764)年の建造です。
正面には雷神の彫刻があります。
⑼国祖社及び額殿(国指定重要文化財)
豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)と彦狭島命(ひこさしまのみこと)、御諸別命(みもろわけのみこと)を祀る社です。神仏習合の頃は本地堂(ほんじどう)と呼ばれており、本地仏(ほんじぶつ)の将軍地蔵が祀られていました。神仏分離後は上記三柱を祀ることとなり、名称も国祖社へ変更しています。
ちなみに本地仏は、神の本来の姿とされる仏のことです。
仏教が伝来し、神と仏が一緒になっていく中で起こった思想の一つだったのですが、明治になり、それをきっちり分けることで、神仏の名前も変更されていきました。
(ウィキペディアより)
写真1枚目のように、私が参拝したときは改修工事中でした。
次期に本社も改修工事に入ります。実は、写真が撮れなくなる前に参拝したいという思いがあったので、今回重い腰をあげて訪問しました。
⑽榛名歴史民俗資料館
(榛名歴史民俗資料館パンフレットより)
榛名歴史民俗資料館は、榛名山信仰と民俗資料を展示している資料館で、「榛名神社前」バス停すぐ側にあります。バスの本数が1時間に1本と少ないため、待ち時間にふらっと立ち寄って見てはいかがでしょうか。
私の場合は40分程待ち時間があったので訪館しました。
榛名山信仰の起源や信仰の広がりをはじめ、実物の資料を見ながらより詳しく知ることができます。神社が好きな方は特におすすめです。
開館時間 |
9時30分〜16時(入館は15時30分まで) |
休館日 |
毎週火曜日(祝日の場合、翌日)。国民の休日の翌日/年末年始(12月28日〜1月4日) |
観覧料 |
一般200円、65歳以上・中学生以下無料。 |
③御朱印
(榛名神社)
受付時間 |
9時00分頃〜15時30分頃 |
拝受場所 |
札所 |
初穂料 |
300円 |
オリジナル御朱印帳 |
あり |
備考 |
1/1〜1/6迄は御朱印紙にて授与(500円)。 |
④100年前の榛名神社(絵はがき)
大正7(1918)年〜昭和初期 発行
筆者所有
現在の榛名神社の入り口です。
⑤榛名神社を参拝して
街中に住む私にとって、榛名神社は想像以上に美しい景観でした。
いや、榛名神社というと少々語弊があるかもしれません。山内には自然が作った奇岩が見られ、昔の人もしみじみと眺めつつ景観を楽しんでいたのだろうと想像しながら歩きました。そして紅葉の美しい景色とともに奇岩や滝、そして古建築も映える写真が撮れ、それが何よりの収穫でした。
さて、参道を歩いて三重塔の近くまで行きますと、梅の店と書かれた「みそぎ屋」が現れます。ここの「みそぎ饅頭」は有名で、参拝後近くのみそぎ橋の上で食べると願いが叶うと言われています。メディアで取り上げられてからというもの人気沸騰しているのです。
もちろん事前に情報を得ている私でしたが、わざわざ多くの人の前で食べる必要はないので家に持ち帰ってゆっくり食しました。大和芋と言うのでしょうか、モチモチとした食感の中に梅のすっぱさがまた絶妙な味でした。
そういえば最近、職場の人から「・・・お前最近太った???」と言われるようになり気になっています。「・・・そうかなぁ」と頰をへこませスリスリする私ですが、相も変わらずまた次の神社で饅頭を頂きます。太ってませんからね!
なお、紅葉シーズンは人が多く混雑します。
駐車場は車の列ができますし、公共のバスも榛名湖へ向かう人が多いので、時間帯によっては鮨詰め状態となります。なので、バスであれば始発の「高崎駅」から朝イチ8時半に乗るのがよろしいかと思います。私のときは高校の学園祭とも重なり、大変な状況でしたから。