【2019年2月10日(日)奉拝】
滋賀県甲賀市に鎮座する「油日神社(あぶらひじんじゃ)」は、油日大神(あぶらひのおおかみ)を祀る甲賀の総社です。油を祀る祭神は全国的にも珍しく、奉納された食用油の一斗缶からも崇敬の厚さを窺い知ることができます。
また、本殿を含む建造物5棟が国の重要文化財に指定されており、回廊が取り付く中世の神社建築を今に伝える大変貴重な景観です。そのため、映画やドラマのロケ地として採用されることが多く、最近ではNHKの連続テレビ小説「わろてんか」のロケ地として話題となりました。
- アクセス
- 境内案内図
- 見どころ
- ⑴「楼門(国指定重要文化財)」 室町時代の美しい楼門
- ⑵「回廊(国指定重要文化財)」 包み込むような回廊
- ⑶「拝殿(国指定重要文化財)」 安土桃山時代の建物
- ⑷「本殿(国指定重要文化財)」 三室構造の本殿
- 御朱印情報
- 油日神社を参拝して
アクセス
※車
・新名神高速道路「土山IC」から約15分。
・新名神高速道路「甲南IC」から約20分。
・名阪国道「上拓殖IC」から約10分。
(駐車場あり)
詳細はこちら↓
境内案内図
(筆者作成)
見どころ
油日神社の見どころ、4箇所あります。
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⑴楼門(国指定重要文化財)
⑵回廊(国指定重要文化財)
⑶拝殿(国指定重要文化財)
⑷本殿(国指定重要文化財)
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⑴「楼門(国指定重要文化財)」 室町時代の美しい楼門
重要文化財に指定された5棟の建造物のうち、最初に出迎えてくれるのがこちらの楼門です。建立年代は永禄9(1566)年、室町時代の建物になります。
檜皮葺(ひわだぶき)の楼門は、どの角度から見ても美しく、東西に伸びる回廊とともに参拝者は心を奪われることでしょう。
楼門には、業界人が奉納した食用油の一斗缶が山積みにされています。
当社が油の祭神として崇敬を集めていることが分かります。
楼門の見どころポイント💡
(出典:「油日神社公式HP」より)
楼門をくぐってすぐ振り返って見てください。
上層部の蟇股(かえるまた)という部材に、鳩の彫刻が見えます。
楼門のお披露目式の際、この鳩の彫刻が実物となって飛び出して行ったとの伝承があります。何度も蟇股に戻すのですが、度々飛び立ってしまうため、片方の羽をもぎ取ったところ、逃げることはなくなったという言い伝えがあります。
楼門に施された彫刻が、いかに生き生きと表現されていたかを窺わせるエピソードですね。
⑵「回廊(国指定重要文化財)」 包み込むような回廊
社殿を取り囲むように建つ回廊は、楼門と同じ時期に建てられました。
楼門に付属する建造物としては、社殿を4面で囲む形が一般的であるものの、当社のそれは東側が五間(ごげん)、西側が六間(ろくげん)と完結しない形式です。
間(けん、げん)・・・柱と柱の間の空間の数のこと。
また、楼門の一直線上にある拝殿が中心となるよう囲っているほか、回廊が土間ではなく板張(いたばり)であり、拝殿は舞殿として、回廊はその見所(けんしょ)としての役割を担っていたのではないかと考えられます。
楼門から回廊が付いた中世建築は大変貴重で、滋賀県でも当社が唯一です。
⑶「拝殿(国指定重要文化財)」 安土桃山時代の建物
楼門と本殿の間にある拝殿もまた古い建築です。建立年代は安土桃山時代と推定され、こちらも国の重要文化財に指定されています。
シャープな屋根と四方に組まれた格子戸が美しく、建物全体に軽やかな印象を与えています。その一方で間口には「鎮護」と大書された額が掛けられ、当社の歩んだ歴史の重さを今に伝えているように感じます。
拝殿内には椅子が整然と並べられ、「三十六歌仙」の額がぐるりと掲げられています。間口から写真を撮るもよし、本殿側から楼門に向けてカメラを構えても絵になる構図です。
外観といい、内観といい、これほど素晴らしい拝殿が他にあるでしょうか・・・。
⑷「本殿(国指定重要文化財)」 三室構造の本殿
(出典:「油日神社公式HP」より)
本殿は明応2(1493)年、室町時代に建てられたもので、こちらも国の重要文化財に指定されています。正面の柱の間数が三間ある「三間社流造」です。
本殿の知っとくポイント💡
油日神社の本殿は、内部が三部屋構造となっています。
これは、仏像の影響を受け製作された神像の登場や、祭神に対する神秘性が向上した表れでもあり、中世における神社建築の特徴の一つなのです。
本殿と拝殿は割と近い距離に配置されています。
幣殿がないじゃないかという意見があるかもしれませんが、実は本殿内部の一番外側の部屋(外陣)が幣殿としての役割を担っているので、改めて設置する必要がないのです。
御朱印情報
(油日神社)
受付時間 |
8時30分〜17時00分 |
拝受場所 |
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初穂料 |
300円 |
オリジナル御朱印帳 |
なし |
備考 |
・不在の場合があるため、事前に訪問の旨を伝えた方が安心です。
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油日神社を参拝して
(中世にタイムスリップしたような古色ゆかしい建築)
当社への思い入れは大変強く、訪問の候補地だった世界遺産「春日大社」を落としてまでの訪問となりました。
事前に目にしていた『神々が見える神社100選』という本で紹介されていた「油日神社」に惚れ惚れした私は、是非訪問したいという強い思いがあったのです。
(楼門の際立て役は、両端の石垣と周辺の社叢)
さて、当社は映画やドラマのロケ地に度々採用されているように、それも大変頷ける実に美しい神社でした。
古びた木製の鳥居を潜ると、手の加えられていない砂地の参道が真っ直ぐに伸び、正面の美しい楼門が出迎えてくれます。その楼門を潜ると、拝殿と本殿が一直線上に並んでいます。目に入る建物は中世の古建築であり、そのすべての建物が最近の瓦葺や銅板葺に葺き替えられていない点も素晴らしい。振り返ると楼門から伸びた回廊に包まれているようで、ここが中世と言われても何の違和感もありません。
(本殿の方から拝殿と楼門を望む)
この感覚は、是非足を運んで実際に感じてみて下さい。