【2019年4月6日(土)奉拝】
東京都千代田区に鎮座する「靖國神社(やすくにじんじゃ)」は戊辰の役(戊辰戦争)、西南の役(西南戦争)、日清戦争、日露戦争、満州事変、支那事変、大東亜戦争などの対外事変や戦争で亡くなった、246万6000余柱の神霊をお祀りした神社です。
春にはおよそ500本の桜が咲き誇るほか、「神池庭園」など四季を通じて自然豊かな境内が魅力的です。また、靖国神社に鎮まる英霊の遺書や遺品を展示する「遊就館」では、戦時を今に伝える貴重な史・資料を見ることができます。
- アクセス
- 開門時間
- 見どころ
- 境内案内図
- ⑴「第一鳥居(大鳥居)」 空をつくよな大鳥居
- ⑵「大村益次郎銅像」 日本陸軍の創設者
- ⑶「第二鳥居」 青銅製では日本一の高さ
- ⑷「靖國の桜」 ソメイヨシノの標本木
- ⑸「社殿」
- ⑹「神池庭園」 知る人ぞ知る靖國の名園
- ⑺「遊就館(ゆうしゅうかん)」 戦時の遺品を展示する
- ⑻「常燈明台(じょうとうみょうだい)」 九段坂の高燈籠
- 御朱印情報
- 100年前の靖國神社
- 靖國神社を参拝して
アクセス
※JRおよび地下鉄
・東西線、半蔵門線、都営新宿線
「九段下駅(出口1)」から徒歩約5分。
( ※正面参道から参拝する場合、「九段下駅」からがオススメ!)
・JR中央・総武線
「飯田橋駅(西口)」「市ヶ谷駅」から徒歩約10分。
・有楽町線、南北線、都営新宿線
「市ヶ谷駅(A4出口)」から徒歩約10分。
・東西線、有楽町線、南北線
「飯田橋駅(A2出口、A5出口)」から徒歩約10分。
※車
・首都高速道路「代官町出入口」「西神田出入口」「飯田橋出入口」から約5分。
・本殿内での正式参拝をされた方は、駐車料金が無料になります。
※駐車場が混雑し停められない場合がありますので、
公共交通機関の利用をおすすめします。
詳しくはこちら↓
開門時間
靖國神社の開門時間は、通年朝6時からとなります。
1月〜2月、11月〜12月 |
6時〜17時 |
3月〜10月 |
6時〜18時 |
(筆者作成)
見どころ
靖國神社の見どころ、8箇所あります。
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⑴第一鳥居(大鳥居)
⑶第二鳥居
⑷靖國の桜(ソメイヨシノの標本木)
⑸社殿
⑹神池庭園(しんちていえん)
⑺遊就館(ゆうしゅうかん)
⑻高燈籠(たかとうろう)
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境内案内図
(出典:「靖國神社公式HP」より)
⑴「第一鳥居(大鳥居)」 空をつくよな大鳥居
靖國神社の正面参道で最初に出迎えてくれるのが、第一鳥居(大鳥居)です。
初お目見えは大正10(1921)年のこと。残念ながら当時の大鳥居は、戦時中の金属類の回収により鋳潰されてしまったようです。
戦時の金属回収に遭い、撤去された?💡
他のHPでは「風雨による損傷のため撤去」との記述が見られますが、谷田博幸氏の「鳥居」では、第一鳥居が供出された云々の記載があります。真相は不明なれど、一応参考として引用します。
「・・一万五千円もの御内帑金(ごないどきん)の御下賜を受けて明治十九年(一八八六)に建立された第二鳥居(旧大鳥居)のほうはさすがに鋳潰すことがためらわれたのだろうが、大正十年(一九二一)に建立された銅製の第一鳥居は昭和十八年九月に供出され、軍自身が戦時下の金属不足へ率先して協力してみせる形となった。」
戦前の流行歌でも歌われた大鳥居💡
さて、蛇足ですが、昭和14(1939)年に発表され大ヒットした流行歌「九段の母」の歌詞に、「空をつくよな大鳥居」と当社の大鳥居が出てきます。
歌手塩まさるが歌ったこの楽曲は、戦前から戦後の懐メロブームまで長く歌い継がれ、今日でも年配の方にとっては馴染み深い楽曲です。
現在の大鳥居は、昭和49(1974)年に建てられたもので、高さは25メートルあります。つい数年前までサビサビだった大鳥居が、最近の創立150年記念事業により綺麗になりました。黒光りした美しい大鳥居。
まずは一枚記念に写真を撮りましょう!
⑵「大村益次郎銅像」 日本陸軍の創設者
参道の中間には、靖國神社の創建に尽力した大村益次郎(おおむらますじろう)の銅像があります。
戊辰戦争の際、司令官として彰義隊(しょうぎたい)が立てこもる上野寛永寺を見つめていた姿を模して造られました。
(大村自身の写真は現存しないようです)
大村の死後は銅像建立の機運が高まり、明治26(1893)年、日本最初の西洋式銅像として建てられました。
創立150年記念事業により、台座が新たに塗り替えられ綺麗になっています。
⑶「第二鳥居」 青銅製では日本一の高さ
明治19ー20(1887)年に建てられた第二鳥居は、靖國神社にある4基の鳥居のうち最も古く、また青銅製の鳥居としては日本一の大きさを誇ります。
笠木(上の横木)と貫(下の横木)を円柱にした陵墓に建てられる「陵墓鳥居」と同じ形をしています。この鳥居は、他の神社でも見られますが、第一鳥居で書いたように、御内帑金(ごないどきん・君主のお手元にあるお金)から下賜された背景があり、金属の供出を免れました。
このように、近代の靖國神社とともに歩んだ鳥居として、特筆しておきます。
⑷「靖國の桜」 ソメイヨシノの標本木
靖國神社の桜は、当社が招魂社(しょうこんしゃ)として創建された明治3(1870)年、九段のこの場所に植えられた桜が始まりといわれています。桜の木が日本の象徴であることはもちろん、当社の祀神にとっても誇りの象徴でした。
境内には500本の桜の木が植えられており、神門から先はピンク一色の美しい風景が広がっています。(写真は2019年4月6日の休日、朝7時台の様子です)
ソメイヨシノの標本木💡
また、靖国神社には東京で桜の開花を伝える標本木があります。
この標本木を観察し、5〜6輪以上の花が咲いた状態を開花発表の目安としています。
ちなみに、今年(2019年)は3月21日に開花し、3月27日に満開を迎えました。私が参拝した4月6日は、満開から散り始めの状態でしたので、お花見を楽しめる最後の週末となりました。参考までに。
⑸「社殿」
明治2(1869)年に創建された「東京招魂社」時代から比べると、大きな拝殿も建てられ、かなり大きなものに進化しています。
正面に見える建物は、靖國神社の拝殿で明治34(1901)年に建てられました。通常はこの場所で参拝します。
社殿を撮影する場合の注意点!💡
写真の鳥居より先では、(社殿を)正面から撮影できません。
ただし参道から外れた場所からは撮影可。これを守らずにカメラを構えると、社殿前で警備されている衛士さんに注意・制止されます。
社殿を撮影する場合は、マナーを守って撮影して下さいね。
明治34(1901)年に拝殿が建てられる前までは、本殿を正面から拝むことができ、平入りの簡素な造りは、ある意味今以上に威厳を感じるものでした。
⑹「神池庭園」 知る人ぞ知る靖國の名園
社殿の裏手には、知る人ぞ知る「神池庭園(しんちていえん)」があります。
この庭園は創建初期の明治の初めに造られたもので、平成11(1999)年の復元工事により全国有数の名園であることが分かりました。
池の周囲に通路を巡らした「回遊式庭園(かいゆうしきていえん)」のスタイルを持ち、深い山の中を思わせる石組みや滝はもちろんのこと、周囲に植えられた木々から四季のうつろいを愉しめる風情ある庭園です。
写真右の手前の石橋は、花崗岩の直橋としては日本一の長さを誇ります。
靖國神社に参拝した人は、この庭園を知らずに帰ってしまうため、庭園周辺はひと気があまりありません。それだけに、自分だけの優雅なひと時が過ごせる場所として、一番オススメです!
⑺「遊就館(ゆうしゅうかん)」 戦時の遺品を展示する
境内に併設された「遊就館(ゆうしゅうかん)」は、国のために尊い命を捧げられた英霊の御遺徳に触れ、学んで頂きたいとの思いのもと、祀神のゆかりの品を集め、宝物館として建てられました。
遊就館のあゆみ💡
明治15(1882)年の開館後、日清・日露戦争や第一次世界大戦を経て館の増改造など拡充が進められますが、大正末には関東大震災の被害を受け、大東亜戦争時には空襲により展示品が焼失してしまいます。その後の再開は、およそ40年の歳月を要し、平成14(2002)年、靖國神社後創立130年を記念して全面改修を行い、現在に至ります。
明治期の遊就館
(出典:「Wikipedia(遊就館)」より)
現在の遊就館は、展示スペース22部屋と2つの映像ホールで構成されています。
ここで、少しだけ展示構成を紹介しますね。
展示構成の一部
展示室1 |
武人のこころ |
展示室11 |
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展示室2 |
日本の武の歴史 |
展示室12 |
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展示室3 |
展示室13 |
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展示室4 |
展示室14 |
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展示室5 |
靖國神社の創祀 |
展示室15 |
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展示室6 |
展示室16 |
靖國の神々1 |
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展示室7 |
日露戦争パノラマ館 |
展示室17 |
靖國の神々2 |
展示室8 |
展示室18 |
靖國の神々3 |
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展示室9 |
招魂斎庭 |
展示室19 |
靖國の神々4 |
展示室10 |
支那事変 |
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写真左:八九式十五糎加農(はちきゅうしきじゅうごせんちカノン)
写真右:零式艦上戦闘機五二型(ぜろしきかんじょうせんとうきごじゅうにがた)
開館時間や拝観料など
開館時間 |
9時00分〜16時30分
※元日 12時00分〜16時30分 ※みたまつり期間中(7月13日~16日)、9時〜21時 ※入館は閉館の30分前まで |
休館日 |
年中無休 |
拝観所要時間 |
平均1時間から1時間30分程度 |
拝観料 |
大人 1,000円 大学生 500円 |
駐車場 |
・靖國神社参拝者用駐車場をご利用ください。 ・駐車料金は30分300円です。 (正式参拝をされる方は、駐車料金が無料) |
詳しくはこちら↓
⑻「常燈明台(じょうとうみょうだい)」 九段坂の高燈籠
明治4(1871)年に建てられた高燈籠(たかとうろう)は、靖國神社に奉納された燈籠です。よく見ると、上部は洋風的、下部は石積みの和風という和洋折衷な燈籠であり、日本が西洋文化を取り入れ始めた当時を彷彿とさせます。
この灯籠が、当時東京湾を航行する漁船の目印になっていたとは驚きです。
大正14(1929)に現在地へ移転したものの、変遷する街の様相を側に、今日でも異国情緒すら漂わせています。
明治期には、錦絵にも描かれた九段坂のシンボル的存在であり、当社からも歩いて数分ですから、ちょっと寄り道してみてはいかがでしょう。
高燈籠の場所
御朱印情報
(靖國神社)
受付時間 |
【3月〜10月】8時頃〜18時 |
拝受場所 |
参集殿(朱印所) |
初穂料 |
300円 |
オリジナル御朱印帳 |
青色神紋柄&ピンク桜柄1000円 |
備考 |
・2019年末まで、「御創立150年」押韻。 |
靖國神社公式HP(新着情報)↓
100年前の靖國神社
大正13(1924)年 発行
筆者所有
関東大震災の翌年4月に撮影したと思われる写真(絵はがき)です。
復興の東京と印字されているように、境内にはバラックが立ち並んでいます。
第一鳥居は、地上からでも今以上に大きく見えたでしょうね。
靖國神社を参拝して
平成26(2014)年に参拝して以来、5年ぶり2回目の参拝となりました。
当時は「明治神宮(東京都渋谷区)」と共についでで参拝したようなものでしたから、人が多い時間帯に訪問してしまいました。それ以来いつかまた行かなくてはという思いと、「靖國=桜」のイメージがある私は、以前から休日の朝に参ることを心に決めて行って来ました
(神池庭園へ向かいます)
私が参拝した日は、満開よりややピークが過ぎた感がありますが、それでもピンクの美しい桜花があちこちに咲き誇り、大変感動しました。
(社殿裏の小径)
(神池庭園)
また、前回の参拝では知らずに帰ってしまった社殿裏の小径や「神池庭園」を拝観。特に自然の中にいるような回遊式庭園を歩いていると、時間までゆったりと流れているように感じます。
(神門から社殿を望む)
朝の6時から7時台にかけては、まだ人が少なく、境内を清掃する人ぐらいしかおりません。竹ぼうきの「ざっざっ」という音が心地良いうえ、社殿の前を横切る際は、子どもから大人まで皆一礼をしています。
その姿にどことなく嬉しく思うのは、やはり私もこの国の人間だからでしょう。
一日の始まりに神社参拝を行うことの清々しさを改めて実感した次第です。