杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

【三重】「伊勢神宮内宮(皇大神宮)」の見どころと御朱印

f:id:horo1332:20190815111009j:plain【2019年5月1日(水)奉拝】
三重県伊勢市に鎮座する「伊勢神宮(いせじんぐう)」は、天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る「内宮(ないくう)」と、豊受御大神(とようけのおおみかみ)を祀る「外宮(げくう)」で構成される神社です。正式には「神宮」といい、外宮は「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」と呼ばれています。

他社とは別格の存在で「日本人の心のふるさと」とも呼ばれ、日本国民の総氏神とされています。20年に一度式年造替を行うことでも知られ、式年遷宮の前後はもちろん、年末年始や大型連休など多くの参拝客で賑わいます。

 

 

アクセス

 ※電車

 ・近鉄五十鈴川駅」から徒歩約30分。
 

※車

 ・外宮から県道32号線経由で約10分。

 ・伊勢自動車道「伊勢IC」「伊勢西IC」から約10分。

 ・年始やGW・お盆などの大型連休は、混雑が予想されます。駐車場に入れない場合がありますので、その際は公共交通機関の利用をおすすめします。
 (駐車場あり)

 

 

詳しくはこちら↓

www.isejingu.or.jp



参拝時間

伊勢神宮の参拝時間は、内宮・外宮・別宮共通です。
下記は公式HPを参考に作成したものです。

1月〜4月

5時〜18時

5月〜8月

5時〜19時

9月

5時〜18時

10月〜12月

5時〜17時

                            (筆者作成)

 

出典元はこちら↓

www.isejingu.or.jp



 

見どころ

伊勢神宮(内宮)の見どころ、13箇所あります。
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 ⑴  宇治橋うじばし

 ⑵  五十鈴川と御手洗場いすずがわ みたらしば

 ⑶  御贄調舎みにえちょうしゃ

 ⑷  皇大神宮(正宮)こうたいじんぐう しょうぐう

 ⑸  御稲御倉みしねのみくら

 ⑹  外幣殿げへいでん

 ⑺  荒祭宮あらまつりのみや

 ⑻  忌火屋殿・祓戸いみびやでん・はらえど

 ⑼  酒殿・由貴御倉みさかどの・ゆきのみくら

 ⑽  四至神みやのめぐりのかみ

 11  風日祈宮かざひのみのみや

 12  瀧祭神たきまつりのかみ

 13  大山祇神社・子安神社おおやまづみじんじゃ・こやすじんじゃ

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境内案内図

f:id:horo1332:20191006203430p:plain                   (出典:伊勢神宮頒布の「境内案内図」より一部編集) 

 

内宮・外宮のイラストマップは、公式HPのトップページよりダウンロード(PDFファイル)できます↓

www.isejingu.or.jp

 

 

 ⑴宇治橋 俗界から神域へ

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おはらい町を通り抜け、いよいよ伊勢神宮へ向かいます。

その象徴ともいうべき宇治橋と大鳥居は、私たちが住む俗界から神聖な世界への入り口です。記念にここで一枚撮影しましょう。 

 

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五十鈴川にかかる宇治橋は全長1018メートル、巾842メートルで、欄干に16基の葱花形(そうかがた)金物を据えた純日本風の反橋(そりばし)です。

 

 

 

 五十鈴川と御手洗場」 心身を清める場所

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その昔、大きな神社では近くを流れる清流で身を清め参拝していました。

そのような姿が今なお見受けられるのが神宮にある御手洗場(みたらしば)です。

他社と同じく手水舎もありますが、どうせ神宮に来たのならこの御手洗場で心身を清めるのが吉。

 

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写真のように手を水面につけると、五十鈴川の清流が身に沁みますよ。

 

 

 

 「御贄調舎」 風の神をおまつりする 

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神苑に入りいよいよ正宮というところに、御贄調舎(みにえちょうしゃ)があります。

ここでは神事で供えられるアワビを調理する儀式が執り行われる場所です。大きな神社では神饌所が設けられる所もありますが、神宮のような吹き抜けの建物で素木というのは少ないかと思います。

 

祀神へ調達する御品をほぼ自給自足する神宮ならではの場所とも言えるでしょう。

 

 ⑷「皇大神宮(正宮)」 日本で最も尊いお宮 

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皇大神宮(こうたいじんぐう)の中でも最も尊いお宮が正宮(しょうぐう)です。

正宮では天皇の祖先とされる天照大神を祀り、また日本各地に鎮座する神々の総氏神でもあります。古式を伝える社殿はもちろんのこと周囲の景観も素晴らしく、私たちが普段参拝できる場所でありながら、遠い存在のような気さえ感じさせます。

それだけに安易に触れたり、正面からズームで撮影するのは避けたいところ。

石段に昇ってからの写真撮影はできませんので注意して下さいね。
 



 

 ⑸「御稲御倉」 豊受大御神の荒御魂をおまつりする

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巡拝路に沿って進んでいくと「御稲御倉」があります。

皇大神宮の所管社の一つで、「みしねのみくら」と言い御稲御倉神が祀られています。

この御倉には、神宮の神田から収穫した稲穂が納められ、お祀りに際しては大御饌(おおみけ)に供えられます。分かりやすく言えば、神様へのお食事となり、「御稲御倉」はその神様へのお食事を保管する場所なのです。
 

 

 

 ⑹「外幣殿」 神宮の御料水の守護神  

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御稲御倉のすぐ近くに「外幣殿」があります。

こちらは「げへいでん」と言い、神宝などを保管する場所です。

御稲御倉と同じく内宮や外宮の正宮と同じ「唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)」と言う建築様式をもって建てられています。ヒノキの白木造りが美しく、破風(はふ)が屋根を突き抜け千木となる、古代の高床式穀倉を想像させる建物です。

正宮を間近で見ることはできませんから、ここでどのような建物なのかイメージしてみましょう。
 

 

 ⑺荒祭宮」 

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外幣殿を更に進むと、下方に「荒祭宮(あらまつりのみや)」が見えてきます。

正宮では国家の繁栄を祈願する場所であるのに対し、荒祭宮では個人的なお願いをしても構わないお宮ということだからでしょう。参拝者はじっくりお参りする方が多いように見受けられます。

 

 

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個人的なお願いをしても構わないとは世間では一般的な見識ではありますが、そもそも神社とはお願いをする場所ではなく感謝を申し上げる場所なので、ここでも日頃の感謝を伝えましょう。

終わりなき欲に執着するより内なるものに感謝する方が、人間的にも豊かになれますよ。

 

 

 ⑻「忌火屋殿・祓所」 

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「忌火屋殿(いみびやでん)」は祀神への食事(神饌)を調理する場所です。

「忌火」とは清浄な火という意味があり、昔ながらの木と木を摩擦する火鑽具(ひきりぐ)を使い火を起こします。忌火屋殿の前庭は「祓所(はらえど)」と言い、祀事の前に神饌と神職を祓い清めます。

 

神宮に限らずですが、とにかく神道は清浄であることが第一なのです。
 

 ⑻「御酒殿・由貴御倉」 

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奥の大きい殿ではお酒の神の「御酒殿神(みさかどのかみ)」を祀り、小さい方は由貴大御饌の御料を納める倉の守護神「由貴御蔵神(ゆきのみくらのかみ)」を祀っています。共に皇大神宮の所管社です。

酒殿では、かつてはここで醸造されていたとか。
 

 

 10「四至神」 

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石積みの当社には本殿がなく、祀神の「四至神(みやのめぐりのかみ)」は神域の守護神とされています。近世には石積みの形態で境内の至る所に摂末社の遥拝所を作った関係から、四至神を祀る石積みか分からなくなり明治に整理された経緯があります。

最近パワースポットブームの影響からか手をかざす不届き者がおり、神宮からも注意を呼びかけているようです。
  

 11「風日祈宮」 

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「かざひのみのみや」と読みます。

当宮は正宮側から風日祈宮橋を渡った先右手に鎮座しています。

外宮にも同様のお宮があるように、鎌倉期の元寇の際神風が吹いて敵軍を撃退した謂れから昇格した格式の高いお宮です。

 

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橋を渡るとまた違った印象を受けます。

神宮の森厳な世界は、どこまでも深く広く人の存在の小ささを感じずにはいられません。感覚を研ぎ澄ませながらゆっくり参拝しましょう。

 

なお、宇治橋と同様に雨中の橋は大変滑りやすくなっているので注意して下さいね。


 

 

 12「瀧祭神」 

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社殿はなく五十鈴川水源の瀧の神を鎮めるために祀られています。

お宮の姿からパッと見ただけで素通りしてしまうかもしれませんが、別宮に準じて祭典が奉仕される特殊な神で皇大神宮所管社に指定されています。

 

写真の参拝者のように並んでお参りしましょう。

 

 13「大山祇神社・子安神社」 

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宇治橋を渡って直進すると大山祇神社(写真奥)と子安神社(写真手前)があります。正宮の神苑とは方向が違い、少し奥まった所にあるので多くの人は当宮の存在を知らないかもしれませんが、れっきとした皇大神宮の所管社です。

大山祇神社の前では、古くは式年遷宮の初祭である「山口祭」が奉仕されていました。

子安神社は名前の通り子授けや安産、子育ての信仰があります。


 
 

御朱印情報

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     (伊勢神宮内宮)     

 

受付時間

6時00分〜参拝停止まで(各月により変更あり)

【参拝停止時間】
●10月・11月・12月 (17時まで)
●1月・2月・3月・4月・9月 (18時まで)
●5月・6月・7月・8月 (19時まで)

拝受場所

楽殿

初穂料

300円

オリジナル御朱印

7種(参考)

備考

・平成31年3月31日および令和元年5月1日には、参拝可能時間の朝5時から拝受できました。

 


                              

令和元年初日の参拝開始の瞬間(動画撮影30sec)   


令和元年初日の伊勢神宮(内宮宇治橋より)

 

令和元(2019)年初日5月1日、宇治橋前の状況です。

短いですが個人的な参拝記録として撮影しました。

先頭付近から後ろを振り返って見ると、大勢の人だかりができており、皆今か今かと待ち構えています。報道陣も駆けつけている中、開門時間(AM5時)及び参拝開始は衛士の先導によりスムーズに行われ、「おめでとうございます」の合図のもと神界へ足を踏み入れました。

 

私事ですが生涯忘れらない一場面でした。

 

 

絵葉書で見る100年前の伊勢神宮

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明治から大正期のものとみられる絵葉書。

この時代ではまだ珍しい、自動車と一緒に記念撮影した一枚です。


 

 

伊勢神宮を参拝して 

宇治橋に着いたのが午前2時のこと。

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     (開門を待つ人々)          (おかげ横丁赤福本店にも待つ人が) 

さすがにこの時間では10人程しかいません。いや、むしろ開門3時間前に人がいること自体異例なのかも知れません。という頃合いから待機したので、私は先頭集団で宇治橋を渡り、令和初の御朱印をほとんど並ぶことなく手にすることができました。

 

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          (早朝5時5分、神苑に仮設された朱印所と行列)

待機中には同士の人と語らい、またある時には某テレビ局から取材を受けました。

今回の改元はまさに国を挙げての祝賀ですね。取材では「お兄さんは、令和をどのような時代にしたいですか」と訊かれたものの、「平成とか令和とか関係なく、一日一日を大切に過ごしたら良いのではないでしょうか」と応えたので、まずオンエアされなかったでしょう。

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                  (手水の一コマ)

周りから見れば至って冷静な受け答えだったかも知れませんが、改元はともかくとして、私にとって初の神宮が目前に迫っていることにとても平静でいられなかったのを今でも憶えています。

 

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              (風日祈宮橋から清流島路川を望む)

そして、境内に聳える樹齢数百年はあろう大木や、清らかな五十鈴川のせせらぎに心が洗われました。早朝の境内はとても空気が澄んでおり、また人が多いと言ってもまだまばらです。この人達が居なければ私はこの自然がもつ悠久かつ森厳な気に圧倒されていたかも知れません。それ程に人智を超えた何かがここにありました。

 

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            (巨木の根元は人が触れてテカテカに)

それと同時に、どうも杜と人との間に絶妙な感覚の釣り合いが存在しているようにも感じます。こればかりは実際に行って当人が感じるものなので、もう何とも言えません。

 

最後に、これから神宮を参拝する人に伝えたいことがあります。

それは決して急ぎ足で回らないことです。特に御朱印を目当てに回っている人は、あろうことか神宮で頂ける御朱印7カ所を1日で手にしようと考えている人がいます。神宮は時期によっては道路状況等大変混雑しますし、そんなこんな焦ったところでどうにもなりません。受付時間の超過などは大したことありませんが、せっかく余暇時間を作って伊勢まで来たのに怪我をしては洒落になりませんよね。

歩きでも雨中の宇治橋や石段は滑り易いので注意してください。

 

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皆さんにとってすてきな伊勢旅行になりますように。