杜の中の閑話室

20代の若者がオススメの神社を紹介します!

【愛媛】県社「國津比古命神社」の見どころと御朱印

f:id:horo1332:20200427200559j:plain【2019年5月5日(日)奉拝】
愛媛県松山市に鎮座する「國津比古命くにつひこのみこと神社」は天照国照彦天火明櫛玉饒速日あまてるくにてるひこあめのほあかりくしだまひめのみこと宇麻志麻治命うましまじのみことを祀る神社です。この地を治めていた物部氏が祖先を祀ったのがはじまりとされ、平安時代の『延喜式』にも記されている古い神社です。境内には饒速日尊の妃神である櫛玉比賣命くしだまのひめのみこと を祀る宮もあり、両社は向き合うように建てられています。境内は広々としており開放的な印象を受けます。秋には火事祭ひのことまつりという祭が行われ、石段の上から神輿を放り投げる場面は圧巻ですよ。

 

 

 

基本情報(アクセス・拝観時間・拝観料など)

社名

國津比古命神社(くにつひこのみことじんじゃ)

鎮座地

愛媛県松山市八反地106番地107番地

電話

089-992-1202

祭神

主祭神】天照國照彦天火明櫛玉饒速日

     (あまてるくにてるひこあめのほあかりくしたまにぎはやひのみこと)

【配神】 宇麻志麻治命(うましまぢのみこと)

     物部阿佐利命(ののべのあさりのみこと)

     誉田別命(ほんだわけのみこと)

創建

応神天皇の時代(270〜312頃)

社格

式内社、県社

アクセス

【バス】  伊予鉄バス「北条駅前」より10分。「金比羅橋」下車、徒歩1分。

【徒歩】  JR伊予北条駅より約30分。

【タクシー】JR伊予北条駅より6分。

【自家用車】今治小松自動車道「今治湯ノ浦IC」から約40分。

      松山自動車道「松山IC」から約40分。

駐車場

なし。但し、表参道の入口付近と裏参道付近にスペースがあり、短時間なら可。

御朱印

あり

拝観時間

自由

拝観料

無料

文化財

県指定有形文化財=楼門

 

 

境内案内図

f:id:horo1332:20200503162129j:plain

 

 

見どころ

==========================

 ⑴米山の石碑

 ⑵國津比古命神社

 ⑶櫛玉比賣命神社

 ⑷風早の火事祭

==========================

 

 ⑴「米山の石碑」 豪放磊落!伊予を代表する書家

f:id:horo1332:20200429214732j:plain表参道の手水舎の側に「式内名神両社千年祭之碑」と書かれた石碑があります。

平安時代に『延喜式神名帳えんぎしきじんみょうちょう』に記された官社は、すべての神社が選ばれるわけではないため地元の人にとって名誉なことでした。

 

当地ではこれに國津比古命神社と櫛玉比売神社の両社が揃って登録されたようですね。

それから千年後、当時の人々は「千年祭」を行い記念碑を建立したのが、写真の石碑となります。

 

 

この記念すべき碑に筆を執ったのは、伊予を代表する書家 三輪田米山みわだべいざん(1821〜1908)という人物です。米山は大の酒好きで、筆を執るときも酒を浴びるように飲んだといいます。その筆致は「これが飲まずにいられっかい!」と言わんばかり豪放磊落!

 

f:id:horo1332:20200503170921j:plain

 

「神」の字の偏と旁や字の中の空間などバランスが悪いため、世間的には綺麗な字とは言い難いものでしょうが、子どものような無邪気さと何者にも囚われない気宇広大な妙を持ち合わせています。

 

ところで、米山は神官をしつつも一風変わった人物だったようです。自らの墓標用に筆を振るったのはまだ分かりますが、自分のことをデッカク「米山三輪田先生」と書いております。門弟の懇願とはいえ中々のもんですね。

 

                                                                                                              《写真:芸術新聞社『近代日本の書』より》

 

f:id:horo1332:20200429215128j:plain
ちなみに、米山の前に建つ注連柱しめばしらは米山の師 日下伯巌くさかはくがん(1785〜1866)が書いたものです。

建立は嘉永7(1854)年、ペリー来航の翌年です。

石製の注連柱の歴史にしても割と初期のものなんですよ。

 

 

 ⑵「國津比古命神社」 古式床しい直線的な社殿

f:id:horo1332:20200429233834j:plain

正面参道から石段を登って左手の楼門をくぐり、更に石段を登った先に國津比古命神社の社殿が現れます。本を伏せたような直線的な屋根は、真正な神社を表しているよう。桃山時代や江戸期に多いコテコテした彫刻がないのもスマートに感じる所以かも。間口を広く開放し、境内も広いのでとても清々しく感じます。

 

 ⑶「櫛玉比賣命神社」 向かいに建つ妃神のお宮

f:id:horo1332:20200429232438j:plain國津比古命神社のすぐ近くに鎮座する櫛玉比賣命神社は、江戸時代にこの場所に移って建てられました。両社の祭神は夫婦関係にあるため、遷座した際社殿を向き合わせるように配置されています。ご神徳も夫婦和合ですから、2社セットでお参りすると良いですよ。

 

f:id:horo1332:20200503224533j:plain f:id:horo1332:20200503224804j:plain

社殿の瓦葺きもさることながら、周囲の景観も竹藪となり國津比古命神社とは異なるものがあります。本来神社の林相は原生林が好ましく竹は避けられるものですが、一つの神社(繋がりのある境内)で環境が異なるというのは中々面白いですね。竹の多い櫛玉比賣命神社は、夏は清涼感が愉しめるかと思います。

 

ちなみに宮司の管轄は両社で異なります。

御朱印は「櫛玉比賣命神社」を管轄する宮司宅にて頂けますよ。
 

 ⑷「風早の火事祭」 風早で最大のお祭り

f:id:horo1332:20200504142600j:plain

表参道から見える広々とした石段では「みこしおとし」が行われます。

國津比古命神社が鎮座する風早地区では「風早の火事祭かざはや ひのことまつり」というお祭りがあり、その中でもみこしおとしは最大の盛り上がりを見せます。

 

f:id:horo1332:20200504200845j:plain

本来祭りに使う道具は一度しか使いません。みこしを壊すということは、古代の歴史や人としての生き方、世の中の仕組みを見直すという意味が含まれているのかも知れませんね。 

※みこしおとしは、10月の3連休の中日午後4時30ごろに開催しています。



御朱印情報

 

f:id:horo1332:20200503163800j:plain f:id:horo1332:20200503163751j:plain     (國津比古命神社)           (櫛玉比賣命神社)     

 

 

受付時間

9時〜17時(参考)

拝受場所

宮司宅(089-992-1202)

初穂料

300円(志納)

オリジナル御朱印

なし

備考

受付時間はなく、他社を参考に掲載しました。

宮司宅で希望を伝えての拝受となりますので、訪問前に連絡をして下さい。なお周辺の神社も兼務されている都合上ご対応頂けない場合があります。

 

 

國津比古命神社を参拝して

f:id:horo1332:20200504204632j:plain               《国津比古命神社の社頭》

冒頭から地味な石碑を取り上げました。

おそらく神社が好きな人や御朱印を集めてらっしゃる方でもあまり興味関心のない分野かと思いますので、少しでも石碑に興味を持って頂けたらと思いあえて紹介しました。

蛇足ですが、境内に建てられる書碑には歴史に名を残した著名人もいます。

例えば日露戦争に旅順攻略を指揮した乃木希典日本海海戦で活躍した東郷平八郎は「忠魂碑」や「戦役記念碑」をたくさん書きましたし、政治家犬養毅木堂ぼくどう)は書の世界でも能書家として知られています。

ちなみに国津比古命神社では佐藤栄作が書いた忠霊塔がありますよ。

 

f:id:horo1332:20200504204048j:plain           内閣総理大臣佐藤栄の名がある忠霊塔》

文化財的な観点で言えば、栃木の「笠石神社」は御神体が磐座ならぬ石碑という珍しい神社で国宝に指定されています。ともかく、境内を散策してみると意外な発見がたくさんありますので、石碑に限らず色々見てみると面白いですよ。

 

f:id:horo1332:20200504235212j:plain
              《石段からの眺め》

さて当社の御朱印は櫛玉比売命神社の宮司宅で頂けます。

事前に電話したものの繋がらなかったため突撃訪問となってしまったのですが、ご丁寧に書いて頂きました。両社とも6文字と長く、縦一行に書くのはそう簡単なことではありません。しかも突然やってきて墨の準備もままならず書いて下さるのですから、考えればありがたい話です。

一日何社も廻る御朱印収集家は、書を書く難しさや神職の事情も知っておくとなお良いかも知れませんね。

 

境内は広くて気持ちのいいお宮でした!