杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

鹿児島ひとり旅vol.1 霧島市「霧島神宮」

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夏空がお似合いの霧島神宮の大鳥居

どうしてこんなにドキドキするのだろう。

人ではない、カメラのレンズが向いているわけでもないのに、見られているような気がする。

元来私は繊細な性格なのだ。人から考えすぎだよと言われてしまうから、もういっそのこと喋らないでおこうと気持ちを塞いでみると、今度は「神妙な顔してどうしたの?」と来る。いいじゃないか、ひとりにしてくれ。私には私の世界があるのだ。内心そうやって言うのだけれど、結局は本心を隠して社会に迎合してきた。

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社叢から社殿を望む

神社の参道を中心と考えるならば、参道の両脇及びバックの社殿は左右対称でなければならない。神社における環境デザインの基本構造だ。と断定するのは私の偏見かもしれない。しかし何事も美しく見えるつくりや配置、装飾があるのは確かだろう。その左右対称の構図は、社殿や景観を美しく見せるための環境デザインの一例だと個人的には考えている。何も学問の世界にまで踏み込んだわけではない。ただ全国の神社を訪ね歩き、随所でビビッときた瞬間を抽出・総合し、加えて境内図や景観を創造する建築の大家をヒントに導き出した一つの抽象的見解である。

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両脇に鎮座する門守神社

さて、霧島神宮はその一例である。

参道から勅使殿を正面として門守(かどもり)神社が左右対称に建っている。この随身のように対称に置かれた門守神社の景観が私は好きだ。それに門守神社の側を通ったとき何かに見られているような感覚がするのである。参道の両脇に建つのは灯籠だって、狛犬だって同じだけど、両脇に社というのがインパクトがあって良いではないか。

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門守神社

調べてみると、門守は随身と同類の神で主神を守護する神だそうだ。

更にいうと、霧島神宮の主神は天孫降臨瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)で、この瓊瓊杵尊に従って降臨したのがここでお祀りしている門守こと櫛磐門戸神と豊磐門戸神の二柱である。有名な天岩戸(あまのいわと)の岩戸が神格化した霊妙な堅い門の神であるから、神前にガーディアンとして鎮座するのも大いに納得させられる。 

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樹齢800年の御神木(メアサ杉)

ただ六月灯の灯籠が参道に設置されていたことで景観の見栄えが悪く、写真撮影も趣味とする私にとっては残念だった。それでもこの時季らしい景観を拝められたし、坂本龍馬が新婚旅行として訪れたこの地で同じ杉の御神木を目にし、天孫降臨に想いを馳せ、人生初めてとなる念願の鹿児島へ来れたのは良かった。それもこれも仕事があり、旅費があり、この健康体があってこそだ。だから、お礼を言いたい。このご時世に本当に有難いことだと思う。 

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夏空と境内 大きな荷物は参拝者休憩所で預かってもらうとラク

鹿児島の夏はヒートアイランド化した東京と比べて、体にまとわり付くような嫌な暑さではなかった。夏らしいカラッとした暑さで気温は30度。日差しはきついが、時折霧雨が吹く清々しいお参りであった。私は霧島神宮より鹿児島交通のバスへ乗車し、10分ほど車窓を眺めたのち、「霧島神宮駅」で電車を待っている。

 

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霧島神宮駅プラットホームの一景

これから鹿児島中央へ行く。鹿児島のお土産を買うためだ。

さてどんな土産があろうか、何を買おうか。これもまた旅の愉しみの一つである。