杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

岩手ひとり旅vol.3 遠野市「六神石神社」

荒神神社の近くを流れる中沢川の川畔を登ると「六神石(ろっこうし)神社」というお宮がある。当社は遠野三山の一つ、六角牛山(ろっこうしさん)の麓に鎮まり、住吉三神・息長帶比売命・大己貴命を祀る。

 

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中沢川沿いを進む

荒神神社からは車で5分ほどで、途中道幅の狭い所があり難を窮するが、車であれば問題はなない。しかし、自転車なら話は別だ。中沢川沿いの緩やかな2キロほどの傾斜が、なかなかに苦しい。それは、あたかも神社側が参拝を拒んでいるようにすら感じるほどに。とりあえず漕いでおけば必ず距離は縮まる、神社へ辿り着くことを励みにひたすら自転車を漕いだ。

 

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六神石神社 社頭

ようやく鳥居のもとへ着いたとき、うまく止められないほどによろよろであった。やっと着いた。途中電動アシスト車を選ばなかったことを後悔もしたが、とにかくようやくここへ到着したのである。私はしばし息を整え、ここならばと記念写真を撮った。

 

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森森たる参道を歩む

未舗装の参道を通り、深部へ向かう。境内は広々としており、子どもからお年寄りまで、お祭りを行うには十分な開放的な広さがある。一際目立つのは、2017年に建てられたという真新しい神楽殿。由緒書きによると「100年、200年先を見越し、境内環境に即し将来的に希少な建物にしたい」との思いから、かつて「法隆寺の鬼」と言われた名工:宮大工「西岡常一」の最後の弟子と言われ、現代の名工、日本屈指の宮大工として名高い「社寺工舎:菊池恭二棟梁」が手掛けたもの…」だそうな。

 

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新しい神楽殿とは対照的な神庫

それはそれとして、参道を登ってすぐ右手にある神庫は対照的だ。瓦葺の屋根を見ると、立派な木が生えているのだ。苔が生えているのは時々見かけるが、木が生えるまで放っているのが微笑ましい。そして大抵裏側はさっぱりしているかと裏に回ると、こちらにも木が…。対して気にも掛けていないかも知れないが、この辺り宮司にも聞いてみたいと電話(口実は御朱印)する。しかし、人気のない社務所のサッシの奥にあるレトロな黒電話が無情に鳴り響くだけで、結局神庫について訊くことはできず、また御朱印も拝受できなかった。後で知ったのだが、六神石神社のホームページに社務所宮司への連絡先が記してあったので、もし宮司宛てへ電話すれば少なからずお会いできたかも知れない。

 

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社務所にて、ホップ和紙御朱印と映画「岬のマヨイガ」のポスター

遠野は日本随一のホップ生産地として、半世紀以上にわたりホップの栽培を続けている。これを受けて、当社の御朱印はホップ和紙仕様となっている。さりげなく押された「岬のマヨイガ」のスタンプが、当社がその舞台であることをPRしている。拝受できなかった代わりに、遠野駅前にある「観光案内所 旅の蔵遠野」で、六神石神社の由緒書きと「岬のマヨイガ」仕様のカッパ捕獲許可証を求めた。遠野へ訪れたお土産として持って帰ろう。

 

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六神石神社の由緒書きとカッパ捕獲許可証(「旅の蔵遠野」にて¥300)