杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

富山ひとり旅vol.1 高岡市「射水神社」

昨年以来久々に夜行バスを利用し、二日ほど富山へ参った。

瀬戸内地方出身の私は、東北以北や北陸圏とはまったく縁がない。首都圏へ向かうための寄り道もなく、修学旅行や親類にも縁のない地域であるからこそ、今旅は私にとって新鮮である。北陸へは昨年(2020年)2月に福井へ訪れたのを皮切りに、9月に石川を探訪した。残すところ1県として富山を訪れ、ようやく北陸三県に足跡を残すことができたのである。

 

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射水神社 

さて、射水神社高岡市街の中心部、高岡駅から徒歩20分ほどの「高岡古城公園」の城跡に鎮座し、古くは二上山大権現として、今日では瓊瓊杵尊を祀るお宮である。往古は公園の左手に聳える二上山(ふたがみやま)山麓にて1000年以上祭祀が行われ、官民ともに越中国総鎮守の大守護神として崇敬されてきた。越中国で唯一名神大社に位置し、近代でも最高位の国幣中社へ列しており、有力な宮であることが窺える。

 

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富山駅で金沢行きに乗車し高岡へ

朝6時20分、富山駅で下車した私は、駅舎を写真に収め、あいの風とやま鉄道金沢行きの電車に乗り換えた。電車で4駅、17分で高岡へ着く。ここからゆっくり歩き、コインロッカーへ荷物を預けても、7時半には目的の射水神社へ着いてしまうことから、授与所営業開始の9時を見計らって参拝する。この間のフリータイムを、なにぶん味気ないと思うだろうが、朝のコンビニのイートインで暖かいお味噌汁を口にし、英気を養うのが旅の常だったりする。

 

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本丸広場の雪吊り

このように割と周到に準備して向かう旅路であるが、令和最初の御朱印を手にする伊勢神宮のように半年以上前から心躍らせる旅ほどではないから、結論から言えば実にあっさりとした参詣であった。鎮座1300年越えの古社は本殿を決して覗かせない近代建築で身を固め、とても神淵まで到達した気にはなれない。しかれども、市民の憩いの場として日常の風景に溶け込んでいることを思えば、あえて目ぼしいところに筆を執る必要はないだろう。渾渾と湧き出る清水のように止まることを知らず、時も刻刻と流れ、境内は常に平時である。本丸広場には雪国の風物詩雪吊りが見られ、温暖な瀬戸内で育った私にとって新鮮に映った。

 

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授与所で頂いた由緒書と御朱印

紅葉の季節限定として考案された、紅葉の色づきから色の変わる御朱印が面白い。

参拝記念としてありがたく頂戴した。