杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

富山ひとり旅vol.2 高岡市「氣多神社」

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高岡市

射水神社のあと、再度高岡駅へ行きレンタサイクルを利用して氣多神社を目指す。

バス発車まで待ちきれず、たまたま駅構内で見つけた1日一回300円のレンタサイクルに目を奪われた。ヨシ!予定変更だ。気の赴くままにふらふらと自転車を漕いで行く。途中気になるお店があれば気軽に行けるし、気に入った街の情景を見つけたら瞬時にポケットからスマホを取り出し撮影することもできる。機動力こそ劣っても、総合的に見ればレンタサイクルほど自由気ままなものはない。

 

高岡駅から氣多神社へは、自転車で1時間ほど。およそ8.5キロもの道のりを経て社頭へ到達。途中23の坂と社前がしんどいが、これを越えればようやく社殿を拝むことができる。

 

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参道を歩む

鳥居から先が神域である意味合いをそのままに、古木な樹々や苔が目に付く。参道のコンクリと奉納された幾つもの石灯籠には心ざわつくものの、豊かな自然を基に社が佇んでいることに気づかされた。氣多大社といえばどうしても能登と比較してしまう。明るく開放的な能登としんみりとした越中とは、同名同神の社であってもまったく異なる様相を呈している。

 

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拝殿と本殿

横長の拝殿はそれ程多くはなく、かといって特段印象に残る建物ではない。信州の諏訪大社のような壮大で凝った意匠なら文化財にでも指定されようが、当社の場合は他ならぬ本殿に注目される。建築様式は三間社流造。木割りが大きく、正面三面を吹き放しとし、さらに一間分の向拝をつけた大きく安定感のある造りである。現在の建物は、室町期の特徴を有す優れた作風として、富山県内の本殿で最も優れた建築物らしく、早くから国の重文指定を受けている。

 

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御朱印案内の掲示がある

御朱印は社頭から50mほど下った先、右折すると宮司宅と思われる場所があるので、そこで拝受する。窓にはご丁寧に受付と表示されているのですぐ分かる。窓を開けると、2種類のサイズの書き置きが用意されているから、各自銘々取って初穂料を納めるが、何も書かれていないので志納ということで良いのだろう。私は一宮専用と通常の御朱印帳の2冊を持ち歩き、一宮の場合は両方に頂いているから2体分600円を納めた。

 

社頭から見た景色はどこにでもある住宅地と日本海。そんな珍しくもない日常の風景でありながらどこか新鮮味を感じるのはやはり住みなれた土地を離れた旅路だからであろう。降水量の多くなる北陸の晩秋に、雲の間にちらりと覗く青空ですらありがたみを感じるのは、氣多神社の自然に幾らか心洗われたからなのかもしれない。