杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

岡山ひとり旅vol.1 岡山市「吉備津神社」

岡山といえばこの桃太郎像 桃太郎伝説は「吉備津神社」に由来する

学生時代の友人と久々の会食とあって、早めに五日市を発ち岡山へ向かう。夕刻まで時間があるので、レンタサイクルを利用し「吉備津神社」へ参拝した。当社へは3回目の訪問だが、初見の初詣と神社ツウとの参拝はどちらも真に神社と向き合ったとは言えず、写真撮影も兼ねて正式に参拝することにした。

 

昼食=ラーメンはすっかり定番化

岡山駅からレンタサイクルで1時間ほど。途中昼食を取りつつ、吉備路をゆっくり参った。社頭の参道は、一の鳥居から500メートル以上続いており、駐車場も広く、また人も多い。最近は小社ばかり行っていたので、私の目には特段大きく映った。そしてふと思い出したのは、先日手にした100年ほど前の写真絵葉書。古絵葉書に映る神橋は今も現存しており、在りし日の風景と現代との相違を確かめながら私はカメラを構えた。

 

石段から北随身門を望む

天候は曇り。時折雨が落ち、石段の周囲に居た者は車へ戻ったりと吐けてしまったので、これはチャンスとまたカメラを構えた。この周囲、北側社頭及び石段、北随神門から割拝殿へと至る経路は、参拝者のメイン参道でありながら道狭く、また急な石段故に人の渋滞が多い。そういう場所だから、思い通りの写真が撮れずモヤモヤした過去も想起したが、今回は幾分マシなものが撮れたので、これも一人で訪問したからこその収穫だと嬉しく感じたもんだ。

 

重層な拝殿を付設 太い柱は重厚感、上部の連子窓は軽やかさを演出している

さて、吉備津神社を語るにはどこをどう切り込むか悩ましいもの。備前・備中・備後を代表する三備一宮と言われるほどの大社であり、歴史や神事、建造物から見ても語り尽くせぬ魅力がある。

 

名所である「回廊」は撮影スポットして名高い

その中でも個人的にタイプなのは、建造物である。

神の間である本殿は何より広大。出雲大社40坪、伊勢神宮内宮正殿18坪に対し、吉備津神社の本殿は実に121坪を誇る。入母屋造を二棟並べたような形式は「吉備津造(比翼入母屋造)」と称し、全国でもここにしかない建築様式である。また総門から拝殿に至る回廊も岡山観光の一所として名高い。白木の瓦葺は素朴でありながら、山の傾斜を利用して約二百間(360メートル)もの歩廊がまっすぐに伸びている。この回廊から本殿や竈殿、その他末社へと連絡しつつ、四季折々の花木が参拝者を目を和ましてくれるフォトジェニックな場所でもある。

 

七間八面の大伽藍でありながら、内部は王朝の宮殿のごとし

この本殿を見る前にどのような印象を持っていたのか、今ではまったく思い出せない。仏寺建築のような大きな図体に、高く築かれた土台の亀腹、由緒に由来したのか今にも羽ばたかんとする壮大かつ優美な檜皮葺屋根。百聞は一見に如かずとは正にこのこと。実際に行ってみなければ、この社殿の良さは分からないだろう。

 

とにかく、今まで2度も訪れていながらこれ程感動したことはなかったので、友人と会うためのついでの参拝が誠に大きな出来事のように記憶に残る参拝であった。