杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

【滋賀】官幣中社「御上神社」の見どころと御朱印

f:id:horo1332:20200515203352j:plain【2019年6月5日(水)奉拝】
滋賀県野洲市に鎮座する「御上神社みかみじんじゃ」は天御影之神あめのみかげのかみを祀る神社です。祭祀の起源は紀元前にまで遡り、三上山を神体山とする自然崇拝に原始的な匂いを感じる古いお宮です。三上山から現在地に社殿が造営された後、平安時代の『延喜式』に記載があります。神社建築として名高い国宝の本殿のほか、拝殿や楼門は重要文化財に指定されています。特に鎌倉時代後期に建立と推定される本殿は、入母屋造りの神社建築では現存最古の遺構として認められています。また古建築の景観はもとより西参道の社叢や三上山など自然と調和した美しい景観も魅力です。

 

 

基本情報(アクセス・拝観時間・拝観料など)

社名

御上神社(みかみじんじゃ)

鎮座地

滋賀県野洲市三上838

電話

077-587-0383

祭神

天御影之神(あめのみかげのかみ)

創建

孝霊天皇6(紀元前285)年

社格

式内社名神大社)、官幣中社

アクセス

【自家用車】   名神高速道路「栗東IC」「竜王IC」より15分。     

【鉄道とバス】  JR琵琶湖線野洲駅」下車、野洲駅南口から

         滋賀交通バス北山団地行き乗車10分 

         「御上神社前」下車、徒歩3分。

【レンタサイクル】JR琵琶湖線野洲駅」より約15分。

駐車場

一の鳥居の前に駐車場完備。普通車20台、大型車5台。無料。

御朱印

あり

開門時間

9時〜17時

拝観料

無料

文化財

国宝=本殿(附 厨子1基)

国指定重要文化財=拝殿、楼門、摂社若宮神社本殿、木造狛犬

国指定重要無形民俗文化財=三上のずいき祭

滋賀県指定文化財=摂社三宮神社本殿、絹本著色両界曼荼羅図、木造相撲人形、御上神社文書

その他

 

 

 

境内案内図

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 ※少し古い資料を参考にしています。

見どころ

 ⑴本殿(国宝)

 ⑵拝殿(国指定重要文化財

 ⑶楼門(国指定重要文化財

 ⑷社叢

 

 ⑴「本殿」 仏堂的要素が融合した神社本殿!

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御上神社の本殿は入母屋造という建築様式で建てられており、建築手法から見て鎌倉時代後期の建立と推定されています。入母屋造と漆喰壁、連子窓などは仏堂の要素が濃く、全体の容姿においても建築細部の手法にしても仏堂建築と何ら変わりません。強いて言えば、屋根の上に千木と鰹木が付いていること。これで神社だと確認できます。

 

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そんな御上神社の本殿は、入母屋造の本殿の最古の遺構として国宝に指定されています。 入母屋造の建築様式の成立は、すでに平安期以降「日吉大社滋賀県大津市)」や「八坂神社(京都府京都市)」で史料上確認できますが、両社の当時の遺構は現存しません。したがって、当社の本殿が現存最も古い例とされる所以です。

 

f:id:horo1332:20200517001103j:plain縁の柱を支える束石には蓮弁れんべん(ハスの花弁)の彫刻があり、建武4(1337)年の刻も施されているようです。普通本殿は人の目に簡単に触れられないよう玉垣に囲まれているので、当社のように国宝の本殿を自由に拝観できるのはそうあるものではありません。この蓮弁もじっくり観察できるのは嬉しいですね。

 

最後に本殿の特徴を大まかにまとめておくので参考にしてみて下さい。

 

〜本殿の特徴〜
  • 鎌倉時代の建物で国宝に指定されている
  • お寺と神社のミックス
  • 入母屋造りでは現存最古!
  • 縁の柱を支える石に美しい彫刻がある

 

 ⑵「拝殿」 吹き放しの旧本殿

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本殿の前に建つ拝殿は、本殿と同じ入母屋造りの檜皮葺きの建築で旧本殿の部材を再利用して建てられたものと考えられています。形も本殿とよく似ています。

ただ漆喰壁のような頑丈な壁はなく四方を吹き抜けにしている点と、内部天井は中央一間を竿縁天井さおぶちてんじょうとして化粧屋根裏の垂木たるきを四方に放射状に出している点は本殿と異なるところです。

f:id:horo1332:20200520212206j:plain特に後者に至っては、内部の美観を意識した珍しいものだそうですよ。

 

 ⑶「楼門」 室町時代の建築

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御上神社の顔となる建造物です。こちらも鎌倉時代に建てられた古い建物で入母屋造りの様式と檜皮葺きである点は本殿・拝殿と同じですね。南参道から正面に見えるこの楼門は、古びた木材と周囲の木立が相まって独特な気を放ち、一目で歴史あるお宮だと感じさせます。

 

f:id:horo1332:20200523231357j:plainちなみに楼門は景観を分節し、その先への視界の広がりを持たせる効果があります。楼門の入口からに立つと感動を覚えるのはそのためで、神社によってはこの場所から撮影すると案外良い写真が撮れたりします。他社でもこの点を注意してみると面白いですよ。

 ⑶「社叢」 樹々に包まれる緑の参道

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建築物の他にオススメしたいのが西参道です。

正面の南参道よりも狭く、両側にはたくさんの草木が繁茂しています。

 

f:id:horo1332:20200523170537j:plain時々天を仰いでみると緑の葉っぱにも様々な色彩があるのだと気付かされます。

 

f:id:horo1332:20200523171109j:plainとても御神木と言えるような老木はありませんが、杉以外の樹種が多いのでしょうか。

木漏れ日と戯れたくなるような小径は御上神社の癒しスポットです。


 

 

 

 

  

 

御朱印情報

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         (御上神社)             

 

 

受付時間

9時00分〜17時

拝受場所

社務所

初穂料

300円

御朱印

あり(1000円)

備考

 

 

 

昭和初期の御上神社(絵はがき)

f:id:horo1332:20200516225629j:plain昭和天皇大嘗祭に備える献上米の栽培地として指定された昭和3(1928)年ごろ、約90年前に撮影された絵はがきです。境内の前には現在も「悠紀斎田」と呼ばれる斎田が広がっています。 献上米の栽培地に指定されるのは、今も昔も大変名誉なことでしょうね。

 

 

御上神社を参拝して

f:id:horo1332:20200523183626j:plain                  《境内の景観》

御上神社は近江旅行の中でも特に楽しみにしていた神社の一つです。

ちなみに本殿の内部には、神座の内陣正面を取り囲むようにコの字形に外陣という空間があり、内陣の後方には宝庫が設けられています。このように内陣と宝庫が一体化した本殿は珍しい造りといえます。本殿の後ろに回ってみると、その入口を確認できますよ。

 

f:id:horo1332:20200523184318j:plainさて、御上神社は建築もさながら景観も美しいのが特徴です。

特に南参道入り口に建つ大鳥居からの景観は自然と調和した古建築群の姿があり、あくまで自然がメインの空間となっています。都会にある神社と比べると、これが本来の神社なのだと実感させられます。

 

f:id:horo1332:20200523184500j:plainまた御上神社が神体山とする三上山も美しい山容をしています。

琵琶湖の湖東にそびえる標高432メートルの三上山には、御上神社の磐座と奥宮があり、周囲からは古墳や銅鐸も発見されています。それほど標高の高い山ではありませんから登山未経験の初心者にも登れますし、歴史が好きなら「銅鐸博物館(野洲市歴史民俗博物館)」なんて所もありますよ。

 

www.city.yasu.lg.jp

 

 

時間をたっぷりとって参拝されることをオススメします!