杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

埼玉ひとり旅vol.1 さいたま市「氷川神社」

埼玉銘菓「十万石まんじゅう」 埼玉は行田に「十万石」なるこの上なく美味な菓子がある。その姿、玉石の如くころんと丸みを帯びて、箱に詰めれば小判の如く収まり、真っ白で艶やかな表面に十万石と焼き印が施してある。皮に包んだこしあんなんて珍しくも何と…

北海道ひとり旅vol.2 旭川市「上川神社」

近文(ちかぶみ)駅 札幌より北へ向かい、岩見沢で乗り換えては近文(ちかぶみ)という駅で下車した。近文とはアイヌ語の「チカプニ」から来ているようで、鳥が集まるところという意味らしい。車内に入る風の冷たさは北へ行くほどに増して、ここ近文を降りて…

北海道ひとり旅vol.1 札幌市「北海道神宮」

新千歳から鉄道に乗り「北海道博物館」を目指す 神社ひとり旅も遂に北の大地に入りて、全国踏破まで長崎、沖縄を残すのみとなった。これ程長く続くのは何より仕事が順調で、心身の健康と経済的余力、それに神社に行きたいという欲求が突き動かすものなんだろ…

山形ひとり旅vol.1 西置賜郡白鷹町「諏訪神社」

新庄で山形行きに乗り換える 秋田と山形に茅葺の宮があると聞いて東北へ来たけれど、本数が少ないのはともかくとして、乗り換えに1時間も掛かるなんて話は聞いてない。いつぞやか、「岩木山神社」を訪問した時もそうだ。弘前から秋田や男鹿に赴き、ひいては…

秋田ひとり旅vol.1 横手市「波宇志別神社神楽殿」

大曲で下車後、レンタカーを利用する 秋田という場所が東北の何処よりも他郷と思うのは、初めて出向いた場所が男鹿半島だったからかもしれない。そこで見た来訪神と思しきなまはげの何とバラエティ豊かなこと。同じ国でもこうも相違があるとは。あの当時の写…

佐賀ひとり旅vol.2 三養基郡みやき町「千栗八幡宮」

田代駅にて 佐賀から鳥栖を経由し、田代の快活で宿泊。明くる日肥前国一宮「千栗八幡宮」を目指した。当社を知らない人ならば、大方「ちくり」または「ちぐり」と呼ぶだろうが、正式には「ちりく」と呼ぶ。なぜこんな呼び方をするのかというと、逆さになった…

佐賀ひとり旅vol.1 佐賀市「與止日女神社」

数年前、熊本の人と文通を開始して初めてお逢いする運びとなり九州を訪れた。そういう機会だから当然神社にも行くわけだけども、この時ばかりは爽やかなシャツとズボンに、靴はイタリアのスウェードを携行し、着け慣れぬ腕時計に化粧水と洗顔液、ワックスな…

福井ひとり旅vol.2 勝山市「平泉寺白山神社」

僧兵が九頭竜川から石を運んだと伝えられる中世の参道 古の路と共に往時を偲びながら「平泉寺白山神社」を目指す。 発祥の地 御手洗池(みたらしいけ) 平泉寺白山神社は元正天皇、養老元年(717年)泰澄(たいちょう)大師が白山に登ろうとしてこの地に来た…

福井ひとり旅vol.1 越前市「大塩八幡宮」

小松でレンタサイクルを返却し、電車に乗りて小松から福井へ向かう 日用神社を発つとき、次訪問先「大塩八幡宮」への足となるレンタサイクルの予約を忘れたことに気付いた。J R北陸本線南条駅の近くにある「道の駅南えちぜん山海里」でのレンタサイクルの受…

石川ひとり旅vol.1 小松市「日用神社」

旅のはじまり 夜行バスで石川の小松へ向かう 能登半島の志賀町に茅葺き屋根の美しい「松尾神社」があり、私は兼ねてより当社への参拝を切望していたのだが、4月に断念した「平泉寺白山神社」と「大塩八幡宮」への兼ね合いが難しかったので、松尾を諦め、代…

富山ひとり旅vol.2 中新川郡立山町「雄山神社前立社壇」

雄山神社前立社壇 社殿 岩峅寺(いわくらじ)駅から徒歩10分ほどの所に「雄山神社前立社壇(まえたてしゃだん)」がある。ここも中宮や下宮を用いず「前立社壇」という名称がただならぬ感を匂わしている。ちなみに前立社壇とは、「一番手前に建立していて…

富山ひとり旅vol.1 中新川郡立山町「雄山神社中宮祈願殿」

雄山神社 中宮祈願殿 社頭 雄山神社は日本三霊山の一つ立山を霊場として雄山頂上の「峰本社(みねほんしゃ)」と、中宮の「中宮祈願殿(ちゅうぐうきがんでん)」下宮の「前立社壇(まえたてしゃだん)」の三社で構成された神社である。古くは万葉集にも記さ…

山梨ひとり旅vol.2 山梨市「大工天神社」

大工地区 山梨市は山手に大工(だいく)という地区がある。いささか変わった名前なので、カーペンターの大工から命名したのかと勝手に想像して、やたら吹聴したくなる地名である。そして私が目指す神社というのもこの大工にあるが、社号は「天神社」なるあり…

山梨ひとり旅vol.1 韮崎市「武田八幡宮」

酒折で甲府行きの列車に乗る 酒折(さかおり)の快活クラブで夜を明かし、ここから甲府を経由し、韮崎(にらさき)へ入った。気温は0度を下回り、久々に手袋を着けて自転車を漕いだ。韮崎駅のすぐ近くに「韮崎市民交流センターニコリ」という新しめの建物が…

東京ひとり旅vol.1 西多摩郡奥多摩町「小丹波熊野神社」

東京駅前 年が明けて初詣も落ち着いた頃、私は「現代書道二十人展」と神社をブッキングさせる旅程を立てた。「現代書道二十人展」は毎年新春に行われる書道展で、現代書道を代表する書道界の巨匠20人が筆をふるい、今日の書道界と今後を示すものとして書壇…

鳥取ひとり旅vol.2 鳥取市「宇倍神社」

初詣より静かな年末に参拝したい。 5年ほど前、讃岐国一宮「田村神社」や「岡山県護国神社」を訪れた際、年末は年始に比べ人が少なくゆっくり参拝できることを身をもって知った。以来、私はあえて年の瀬を意識して詣でるようになったのである。 2017年…

鳥取ひとり旅vol.1 鳥取市「鳥取東照宮」

夜行バスで米子へ、「特急まつかぜ」に乗り鳥取へ向かう 「雪の鳥取」と銘打った神社旅は、予想に反し好天に恵まれた。しかもこの時期としては暖かく、日中は10度を超えている。持参した手袋は不要だし、念願だった積雪はゼロに等しい。強いて言うなら、広…

宮崎ひとり旅vol.5 西諸県郡高原町「狭野神社」

5時39分発 都城から隼人行きの電車に乗る まだ夜の明けきらぬ朝方、一番列車に乗り込み高原(たかはる)へ向かう。 11月ともなると寒暖差が大きい。寒さには慣れてるけども、さすがに10度を下回ってくると、自転車に手袋も思案する。 高原駅 高原はあの…

宮崎ひとり旅vol.4 西臼杵郡高千穂町「天岩戸神社」

欄干が流失した高千穂峡の遊歩道 9月に襲来した台風14号は、高千穂の観光地に打撃を与えた。高千穂神社では巨木・秩父杉の枝が折れ、高千穂峡では遊歩道の欄干が流失。天安河原では厳かな空気を醸し出していた鳥居の笠木が流され、今なお痛々しい姿である…

宮崎ひとり旅vol.3 西臼杵郡高千穂町「高千穂神社」

延岡へ降り立ち、高千穂へ 巨田神社から「佐土原岐道(さどわらわかれみち)」バス停まで徒歩約20分。その後最寄りの「佐土原」へ向かいては「特急ひゅうが」へ乗り込み、1時間弱の乗車時間を持って「延岡」へ降り立った。休む暇なく高千穂行きのバスに乗…

宮崎ひとり旅vol.2 宮崎市「巨田神社」

陽の光が眩しく暑い、水分補給をしながらバスを待つ 「神宮駅前」から「佐土原岐道(さどわらわかれみち)」へ。 三財川を眺める、目的地へはまだまだ バスで26駅を経由し、そこから重要文化財を有する「巨田(こた)神社」を目指す。到着駅から神社までは…

宮崎ひとり旅vol.1 宮崎市「宮崎神宮」

そもそもは長崎と佐賀へ行く予定だった。 西九州新幹線が開通したからではないけども、神社めぐり全国制覇に向けての訪問であり、有給を使っての4連休はここ!と決めていた。ところがいざ神社を探しても心の琴線に触れる宮なく、せいぜい長崎県下最古級の本…

兵庫ひとり旅vol.3 宍粟市「伊和神社」

終点の「山崎」バス停 ここからまた別のバスに乗車して「一の宮伊和神社前」へ向かう 兵庫はバスの旅と言っていい。 西脇市から「青玉神社」へ。姫路から「伊和神社」へ向かういずれの経路は、片道1時間以上もバスに揺られての訪問である。ことに伊和神社へ…

兵庫ひとり旅vol.2 多可郡多可町「青玉神社」

多可町 竜ヶ岳付近を望む 空高く、山々の緑は明暗を分かち、気づけば、人界の大地にも深い影を落としている。 愛用のサックを傍に、窓枠に片肘をついて、車窓から過ぎゆく多可町の景色を眺めながら回想に耽った。ああ、今日も良い旅だった。 道の駅杉原紙の…

兵庫ひとり旅vol.1 加東市「住吉神社」

まだ人気の少ない朝6時過ぎの三ノ宮 ようやく、ようやくである。 今日まで何度も素通りしてきた兵庫へ、ようやく訪問の至りとなった。いつぞやは兵庫行きのバスを予約しておきながら直前に行き先を変更したり、「名草神社」の改修で訪問時期を逃したりで兵…

岡山ひとり旅vol.3 新見市「大佐神社」

ゆずの風味が口いっぱいに広がる高梁銘菓ゆべし バスが高梁へ着いてから、私は山田方谷(やまだほうこく)ゆかりの和菓子「ゆべし」を求めた。 幕末の備中松山藩の財政危機を助く一手として、方谷はゆべしづくりを推奨した一件がある。それにしても、列車の…

岡山ひとり旅vol.2 高梁市「高草八幡神社」

第2鳥居 鳥居と整備された参道がなければ、山そのもの 本山山神社から徒歩5分ほどのところに、同社の御神体を遷したという「高草八幡神社」がある。高梁から吹屋行きバスの終点となる駐車場の近くに鎮座しており、近年建てられた白い鳥居がその存在を知らせ…

岡山ひとり旅vol.1 高梁市「本山山神社」

備中高梁駅 近くには山田方谷の碑もある 岡山への訪問を何がきっかけで決めたのかはまったく思い出せないが、岡山県内の神社をGoogleマップを頼りにしきりに探し回ったのははっきり憶えている。日本最大級の石製鳥居がある県北の「蔀戸神社(かやべ)」やア…

島根ひとり旅vol.2 隠岐郡隠岐の島町「玉若酢命神社」

隠岐の海 明くる日、西郷港の岸壁からカメラを構えた。魚の臭気と潮の香りが漂う久方振りの波止場に立ち、対岸のまだ黒き山並みを眺める。風は一切なく、海面は鏡面のように波一つない。表層を漂うアオリイカをしっかりと目視できるほどに、それはそれは静か…

島根ひとり旅vol.1 隠岐郡隠岐の島町「水若酢神社」

境港から隠岐の島の西郷へ向かう高速船・レインボージェット 屋内から一歩たりとも出られぬような酷暑の中、私はコンビニのイートインを目指し2キロ以上もの道のりを歩いた。境港周辺には安価で手軽な食事処がなかったからであるが、隠岐の島へ行く前に体力…