【2018年11月17日(土)奉拝】
神奈川県藤沢市江の島に鎮座する「江島神社」は、田心姫命(たごりひめのみこと)と湍津姫命(たぎつひめのみこと)、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)の宗像三女神(むなかたさんじょしん)を祀る神社です。また日本三大弁天の一つに数えられます。江島神社発祥の地である岩屋があり、都心からのアクセスも良いことから休日は多くの観光客で賑わいます。
①鎮座地(アクセス)
※電車
・小田急線「片瀬江ノ島駅」
・江ノ島電鉄「江ノ島駅」
・湘南モノレール「湘南江の島駅」、各駅から徒歩約15分〜23分。
※車
・東京方面から 第三京浜「保土ヶ谷IC」から約50分。
・横浜方面から 横浜横須賀道路「朝比奈IC」から約35分。
・名古屋方面から 東名高速道路「厚木IC」から約35分。
(島の内外ともに駐車場あり)
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②見どころ
江島神社の見どころ、9箇所あります。
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⑴青銅の鳥居
⑵児玉神社
⑶瑞心門
⑹伝源頼朝寄進の鳥居
⑺江島神社(奥津宮)
⑻龍宮
⑼江の島岩屋
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♦︎境内図♦︎
⑴青銅の鳥居
江の島に渡ってすぐの所にある青銅の鳥居です。
文政4(1821)年に再建されたこの鳥居には、多くの寄進者の名前が記されており、江戸時代の信仰の広さを今に伝えています。この鳥居自体は大きな見どころではありませんが、ここから先は土産物屋が多く、江の島観光の記念として写真を撮りたい場所の一つです。
神額には、「江島大明神」と記されています。
⑵児玉神社
江島神社の瑞心門の近くに鎮座する児玉神社は、日露戦争で活躍した軍人 児玉源太郎(1852〜1906)を祀った神社です。日清戦争の勝利から台湾を割譲した日本は、台湾に「台湾総督府(たいわんそうとくふ)」という官庁を設置しました。この台湾総督の4代目に就任したのが児玉源太郎でした。
在任時、善政によって現地の人に慕われたことから、社殿は台湾から贈られたヒノキでつくられており、鳥居や狛犬も台湾の石でつくられています。
また、台湾総督府の民政長官を務めた後藤新平(ごとうしんぺい)の詩碑や、日露戦争の激戦地203高地の石塊などが境内にあります。
江島神社の参道の賑わいとはよそに、児玉神社の境内はひっそりとしています。
2018年の夏頃から神楽殿の解体工事が始まっており、工事費の不足からかそのままになっているようです。神社では奉賛を呼びかけています。
下の写真は、工事が始まる前の2008年の神楽殿です。
私事ですが、ここでタイワンリスを見つけました。
境内は残念ながら荒廃していますが、台湾との縁深い児玉神社で野生のタイワンリスと遭遇したことは嬉しかったですね。
⑶瑞心門(ずいしんもん)
昭和61(1986)年に建てられた瑞心門は、人々が瑞々しい気持ちになれるようにとの思いからその名が付けられています。「竜宮造り」という独特な建築様式は、江の島の象徴的な建物として親しまれています。
屋根を見ると、近世から近代に見られる「銅板瓦葺き」であることが確認できます。
建物の土台は現代的ですが、上部はわりと古式に則って建てられていますね。奇をてらっていないところが好感もてます。
江島神社の三社の内、最初にあるのがこの辺津宮(へつのみや)です。
建永元(1206)年に源實朝(みなもとのさねとも)により創建されました。
瑞心門からは急な石段が続くので、ちょっとした達成感が味わえます。
現在の社殿は昭和51(1976)年に改修されたものです。
御朱印は社殿向かって右の社務所にて頂けます。
辺津宮とはうって変わって、中津宮(なかつのみや)は朱色の社殿で鮮やかな彫刻が目立ちます。江戸期には竜宮城の門を模した「不老門」が建っていたのですが、明治の神仏分離により、三重塔とともに取り除かれました。参道の横にその記念碑が遺されています。
⑹伝源頼朝寄進の鳥居
鎌倉幕府を開いた源頼朝が寄進したとされる鳥居です。
吾妻鏡によれば「頼朝は養和2年(1182)奥州平泉の藤原秀衡(ふじわらのひでひら)を調伏(ちょうぶく)するため、京都高尾神護寺の文覚上人(もんがくしょうにん)に命じて弁財天を岩屋に勧請し、参詣の際には鳥居を寄進しました」とあります。(案内板より)
ただ、設置の場所もどのような鳥居だったのかも定かでは無いようです。
⑺江島神社(奥津宮)
奥津宮(おくつのみや)は、江戸期までは「本宮御旅所(おたびしょ)」と呼ばれていました。かつては岩屋のご本尊を台風による流失から守るため、ここで保護していたようです。
拝殿の天井には、「八方睨みの亀」という画がはめ込まれています。
江戸後期の絵師 酒井抱一(さかいほういつ)による画で、江島神社の見どころの一つとして有名です。
八方睨みという名の通り、どこから見ても睨まれているような目力がありますね。
ちなみに、現在社殿にはめ込まれている画は模写のようで、実物は社務所にて保管しているそうです。
本殿前の木が邪魔をして上手く撮影できなかったのですが、姿形は確認できました。
⑻龍宮(わだつみのみや)
奥津宮のすぐ隣にある龍宮は、岩屋本宮の丁度真上にあり龍神を祀っています。
平成5(1993)年に崇敬者により建てられた新しいお宮です。龍神に対しては信仰とまではいかなくても、人それぞれ思うところがあるようです。身近なところでもお守りや土産物としてよく目にしますね。
⑼江の島岩屋
第一岩屋
岩屋には第一岩屋と第二岩屋の二つがあり、第一岩屋の奥に江島神社の発祥の場所があります。欽明天皇13(552)年にこの地に鎮座しました。二つの岩屋の中でも、入口から最も遠い所にあります。
第一岩屋は途中で道が分かれていて、一方が「発祥の地」で、もう片方が写真の場所です。ここは「富士へ通じている」との言い伝えが残されている場所です。
天気が良ければ、江の島から富士山がバッチリ見れます。
昔の人は、江の島から見えるきれいな富士に想いを馳せながら、岩屋へ入って行ったのでしょうね。
道が二手に分かれている所です。
写真のような石仏がいくつもあり、薄暗い中ライトアップされています。
岩屋の入口ではローソクの貸し出しがあります。さながら探検隊のように石仏探しをしてみてはいかがでしょうか。
第一岩屋の長さは152メートルにも及びます。
江ノ島へ来た当初は「ちょっとした洞穴でしょ」ぐらいな気持ちだったのですが、想像以上の長さに驚きます。
写真は第一岩屋入口の料金所から少し入った所にある、岩屋内で最も広い空間です。潮溜まり?に建つ与謝野晶子の句碑と、グリーンのライトが幻想的。
第二岩屋
第二岩屋は第一岩屋よりも更に狭く、屈んで行かなければならない所がいくつかありますが、かえって洞窟探検のようで面白いです。岩屋の奥には、江の島の龍神信仰を伝えるように龍神が待ち構えています。
最も深い所に龍神像があります。
なぜか急に大きな音が出るので驚かないように・・・。
岩屋の見取り図
(「江の島岩屋」のしおりより)
開洞時間 |
年中無休
1月 9時〜16時 2月〜4月 9時〜17時 5月〜9月 9時〜18時 10月 9時〜17時 11月・12月 9時〜16時
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入洞料 |
大人500円、こども(小中学生)200円。 |
備考 |
夏期・イベント時には時間延長があります。また、台風など荒天の際は閉鎖や開洞時間の変更をする場合があります。詳細は下記HPを確認して下さい。 |
③御朱印情報
(江島神社) (弁財天) (龍宮)
受付時間 |
8時30分〜17時00分 |
拝受場所 |
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初穂料 |
300円 |
オリジナル御朱印帳 |
あり |
備考 |
社名と祭神名はスタンプです。御朱印の種類は、公式では「江島神社」と「弁財天」の二種となっていますが、希望すれば「龍宮」も頂けます。(但し印刷) |
④100年前の江島神社(絵はがき)
明治40(1907)年〜大正7(1918)年 発行
筆者所有
現在は岩屋橋という強固な橋が架かっているので、写真のような木製(竹製?)の脆い橋ではありません。また、大正12(1923)年の関東大震災により1メートルほど隆起したため、海水が入ってこなくなったようです。景観の変化が乏しい自然物であっても、100年前と現在とでは異なる岩屋のスナップです。
⑤江島神社を参拝して
(最寄駅の一つ小田急「片瀬江ノ島駅」) (江の島弁天橋から江の島を望む)
島へ渡ってすぐ青銅の鳥居からは、昔ながらの参道と活気に満ちた土産物屋が並び、蛸せんべいのコーナーでは長い行列ができています。私のふるさとにある「こんぴらさん」を見ているようです。さすがに土産物やキーホルダーを物色することはなくなりましたが、私は店先のしらす丼や人の賑わいに目をやりながらどこか懐かしく歩きました。
(神奈川の景勝50選にも選ばれた稚児ケ淵)
さて、岩屋へと続く長い道には随所に展望台が設けられています。
展望台から見る相模湾や富士山は大変美しく、また稚児ヶ淵(ちごがふち)では波の音が心地よく聞こえて来ます。
(岩屋の入口あたり) (ローソク片手に洞窟探検!)
岩屋では想像以上に長く大きな洞窟で驚きました。
入口で渡されたローソクはあまり役には立ちませんが、薄暗い洞窟とほのかに揺れるともしびが何より幻想的です。デートスポットに最適なのではないでしょうか。
最後に江の島で嬉しかったこと。
台湾にゆかりのある児玉神社や江島神社の奥津宮でタイワンリスを見つけました。あまり警戒している様子はなく、野生の姿の一部始終を撮影できたことは嬉しかったです。
江島神社のタイワンリス/Taiwan squirrel of Enoshima Shrine
ただ彼らは外来の生き物で住宅や樹木を傷つける厄介者ですから、エサをやらないようにお願いしますね。