杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

【茨城】常陸国一宮「鹿島神宮」の見どころと御朱印

f:id:horo1332:20181026205349j:plain【2018年8月25日(土)奉拝】
茨城県鹿嶋市に鎮座する「鹿島神宮(かしまじんぐう)」は、武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)を祀る常陸国(ひたちのくに)一宮です。「伊勢神宮」(三重県伊勢市)や「香取神宮」(千葉県香取市)と同じく、古来から「神宮号」が与えられた由緒ある社です。

社殿が国の重要文化財に指定されるなど見どころが多く、特に面積約21万坪に800種以上の草木が繁茂する樹叢は必見です。

 

 

 

鹿島神宮の鎮座地

 

鹿島神宮の見どころ

鹿島神宮に行ってぜひ見て欲しい所、6箇所あります。

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 ⑴壮大な楼門(国指定重要文化財

 ⑵社殿

 ⑶奥参道の樹叢(県指定天然記念物)

 ⑷摂社奥宮(国指定重要文化財

 ⑸要石(かなめいし)

 ⑹御手洗池(みたらしいけ)

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 ♦︎境内図♦︎

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 当社配布の境内案内図より、一部編集しております。

 

 

⑴壮大な楼門(国指定重要文化財 

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寛永11(1634)年、徳川頼房公の奉納による楼門は、「筥崎宮」(福岡県福岡市)、「阿蘇神社」(熊本県阿蘇市)とともに、「日本三大楼門」の一つです。

 

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左右回廊の傍に木々が茂っている環境からか、「香取神宮」のような安定感というより高さが誇張されているように感じます。

 

⑵社殿(国指定重要文化財

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現在の社殿は元和5(1619)年、二代将軍徳川秀忠公により奉納されたもので、拝殿、幣殿、石の間、本殿の4棟で構成されています。

 

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私の撮影場所が悪いのか、本殿に近づいて撮ることはできませんでした。 

 

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ちなみに、こちらの社殿は神社としては珍しく北を向いています。
その理由は詳しくは分かりません。ただ、現在の位置に配置転換したのは比較的新しく、確か近世の頃だったかと記憶しています。

楼門を潜った先一直線上に配置されるケースが一般的なので、急に右手に現れる社殿に、ちょっとした戸惑いが生じるという特殊な配置をしています。

 

⑶奥参道の樹叢(県指定天然記念物)

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鹿島神宮の一番の見どころがこちら、「樹叢」(じゅそう)です。
当社の長い歴史とともに育んできた樹々や植物が約800種もあり、大勢の参拝客がいても俗を感じさせない深い森が広がっています。 

 

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写真は社殿(正殿)から奥宮にかけての「奥参道」です。 

 

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道幅の広い参道は、枯葉一つも許さぬほど綺麗に掃除されています。
天然記念物という理由もあるのでしょうが、それでもアスファルトや石畳で整備しないところが当社の素晴らしいところです。

同じ一宮でも、境内の地面をガチガチに固めてしまう神社とは訳が違いますね。
なぜそこまで整備する(人が手を加える)のかというと、その方が掃除が楽で、何かと都合が良いからなのです。

また、自然(人間も)は大地の恵みを受け生かされており、その命が尽きると皆土に還ります。いつの頃からか、人は上へ上へと生活圏を広げますが、やはり地に足をつけるべきですし、それが自然でありたいと私は思います。

 

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背の高い木々が目立ちます。

ここに来ると、私という人間や人間の存在など、ヒトと森との付き合い方について改めて考えさせられます。

 

⑷摂社奥宮(国指定重要文化財

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奥参道を進んで行くと、右手に奥宮があります。

奥宮は慶長10(1605)年、徳川家康公により建てられた本宮の旧本殿です。
境内にある社殿の中で最も古く、元和の造営の際こちらに移設されました。

 

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簡素な白木造りですが、周りの樹叢とあいまって古朴な趣があります。

 

⑸要石(かなめいし)

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香取神宮と同じく、当社にも要石(凹形)があります。

地面からあまり露出していないため、やや物足りなさを感じるかも知れませんが、昔から名所として採り上げられてきた場所なので、一度は見ておきたいものです。

 

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⑹御手洗池(みたらしいけ)

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こちらも鹿島神宮を代表する名所。
古くは禊をここで行い、参拝したと考えられています。 

 

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水深は1メートル前後でしょうか。
水はよく澄んでいて、子どもや大人が入っても胸の高さを超えないという伝承は有名な話です。

御手洗池は、写真のようにぐるっと一周廻ることができるので、自分なりにベストスポットを探して撮影するのも面白いかと思います。

御朱印

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<奥宮>                 <鹿島神宮> 

当社の御朱印は、「鹿島神宮」と「奥宮」の2種類あります。
授与所で選べるようになっているので、欲しい方を伝えましょう。もちろん、両方頂くこともできます。また、御朱印帳を忘れた方のために、書き置きも用意されています。

初穂料は300円です。
入り口から楼門をくぐり、左手に授与所があります。

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④大正から昭和初期の鹿島神宮(絵葉書)

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鹿島神宮の「表参道」で、昭和7(1932)年以前に撮影発行された絵葉書。

何台ものタクシーが停まっています。 

 

 

鹿島神宮を参拝して 

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鹿島神宮駅から徒歩圏内の神社でありながら、広大な神域と杜にホッと一息。
都会の喧騒を忘れさせてくれる鹿島神宮は、杜を出た後も私は現実世界に戻ることができず、しばらく放心状態が続きました。1日経っても、夢幻の様な感覚が残っています。

 

奥宮界隈では特に鬱蒼とした杜が広がり、物哀しく鳴くヒグラシの中、皆想い思いに手を合わせています。

何もないが、何かが在るという感覚で、ただただ疑いようもなく、有り難みを感じるのはなぜでしょうか。それは、私たちもまた森羅万象の一であり、どこかで自然と繋がっているからなのかも知れませんね。

 

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余談ですが、今回鹿島神宮を参拝して、神社によって雰囲気が異なる理由について考えるきっかけとなりましたので、備忘録も兼ねここに記しておきます。


先に参拝した香取神宮の森は、鹿島神宮に比べ温和な雰囲気が漂っています。
それは、神様の性格やエネルギー云々といったスピリチュアルや、俗に言うパワースポットの話ではありません。

 

実は、香取神宮鹿島神宮の樹種が違うので、それぞれの神社で受ける印象も異なるのです。当然といえば当然の話ですが、普段何気無く神社めぐりをする中で、樹木のことなど想像すらしないので、今植物学の観点から森を見るという調べ事は、私にとって斬新で、大変新鮮な気持ちで勉強させてもらってます。

 

鎮守の森には、他にも「歴史学」「民俗学」「文化人類学」「都市計画学」などの観点から多角的に捉えることができ、私たちが歩んできた人類の歴史から古代祭祀の起源まで繋がりがあります。

 

何気無くはじめた神社めぐりが、これほど愉しく視野を広げてくれるものとは、ただありがたく、嬉しく思います。

少し話が逸れましたが、このように広い観点から今後も神社を紹介していこうと思う次第です。