杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

富山ひとり旅vol.3 南砺市「高瀬神社」

相も変わらず、今日も快活クラブから一日が始まる。

ともすればホームレスのようとも思えるが、一応の身なりは整えているし、7キロもあるリュックを背負う姿は他ならぬ旅行者である。

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万葉線市民病院前」の一景 路面電車ってなんだか叙情的だ

この日は万葉線路面電車に乗り、高岡で乗り換え、JR城端線(じょうはなせん)で福光へ向かう。外は12度ほどと冷えているのに、車中は暖かな日差しも相まってついうとうと寝てしまった。ハッと目覚めた時は既に目的の福光で、まだ夢の中であった私はICカードが使えないことに頭の整理が付かず困惑したが、なんやかんや現金で精算できほっと胸を撫で下ろした。それにしてもたかが乗車賃を払うだけなのに、まるで都会育ちのお嬢さんだ。。

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版画家 棟方志功の筆 無事に?福光駅に着いた

さて、「高瀬神社」へは福光駅からレンタサイクルで1時間ほど。

途中雨に降られながら時に浮気して、他社や石碑にカメラを向けることもあった。空はどんより曇っても心は晴れている。自転車を漕ぎながら、出会す田畑や山川に歌を披露した。

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越中国一宮高瀬神社の社頭

高瀬神社の鎮座は景行天皇11(西暦82年ごろ?)年という。祭神である大国主命が北国開拓の際、当地に守り神と自身の御魂を祀り、出雲へ帰ったと伝えられている。のちに延喜式内社とし、越中国一宮としても崇められた。

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社殿及び狛犬 紅葉をバックに

境内は七五三で訪れる家族の声声に氏子が落ち葉を掻き集める音がそこかしこで聞こえる。また落ち着いた社殿と賑やかさと華やかさのある景観がそこにはあった。社殿は至ってシンプルで、ありふれた地元の神社といったところだろうか。どこか物足りなさか寂しさもあるが、とりあえず御朱印も頂いたし、これで参拝済とする。

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この曇天!

寂しさの理由はこのどんよりとした雲だろう。

北陸は雪が多い。それは、言わずもがな天気が悪いということである。

季節はまだ晩秋だが、こんな天候が何日も続くなんて私なら落ち込んでしまうかもしれない。北陸の人はこの辺りどう感じているのだろうか。道々の神社では雪囲いも見られ、冬の準備が始まっている。これから行く小矢部の「埴生護国八幡宮」も雪囲いしているのだろうか。そう思うと行く気も失せてしまい、もう(快活クラブで)寝ちゃえ!と、気まぐれに出てしまった。もはや何日もかけて作った分単位の旅程ノートも要なしである。ついでに夕食はお刺身にしようと考えたあたりで、完全に帰路へと舵を切ってしまった。

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富山駅近郊の「快活クラブ」で夜行バス出発の時を待つ

まあこんな旅もある。旅は何より自由である。

23時55分には富山を発つ。その刻まで旅の余韻に浸っている。