杜の中の閑話室

神社を求め、ただ一人。山へ海へ里を歩く紀行譚!

福井ひとり旅vol.1 越前市「大塩八幡宮」

小松でレンタサイクルを返却し、電車に乗りて小松から福井へ向かう

日用神社を発つとき、次訪問先「大塩八幡宮」への足となるレンタサイクルの予約を忘れたことに気付いた。J R北陸本線南条駅の近くにある「道の駅南えちぜん山海里」でのレンタサイクルの受付は、前日までにせねばならない。当日しまったと気付いても、時すでに遅しである。しかしもし情に訴えて懇願すればとも脳裏をよぎったが、万一借りれたとしても返却時間に余裕がないから得策ではない。私は日用神社参拝後、どのような移動手段を採るか電車の中でしきりに考えた。

 

南条レンタサイクル案

(南条駅から1キロ徒歩10分、レンタサイクル受付の道の駅から神社まで自転車で約15分だが、返却時間まで余裕がない。当日貸出不可?)

 

武生レンタサイクル案

武生駅から自転車で7.5キロ30分だが、返却時間まで余裕がない)

 

タクシー案

王子保駅からタクシーで5分だが、後日タクシーでの長距離移動が控えているのでなるたけ利用したくない)

 

王子保徒歩案

王子保駅から2.5キロ徒歩30分だが、炎天下の中歩くのはしんどい)

 

王子保から少し歩いたところにコレヨリ2K、神社までひたすら歩く。

結局のところ、社務所の時間に間に合う&返却時間を気にせず自由気ままに参拝できる第④案を採用したのだが、これがかなり堪える大仕事で、強烈な日差しのもと腕を真っ赤に燃やしての参拝となった。

 

室町期に建てられた長床式の大拝殿

山肌を昇る苔に覆われた長い石段に、喜多方の「新宮熊野神社」を彷彿とさせる長大な長床拝殿。山から出てきた翁はこの社の神職で、山仕事の直後にもかかわらず御朱印を書いてくれた。あらかじめ御朱印を受けられることを知ってはいても、常に授与所を開けている訳ではないから、事前に電話して繋がらなければあとは時の運でしかない。そう思うと御朱印を頂けたのはまったく幸運であった。

 

日差しを遮る大塩八幡宮の参道。氷菓子と冷凍ペットには幾分助けられた。

さりとて盛夏の暑さは尋常ではなく、日差しに至っては危険極まりないものだった。こんな酷暑、たとい神信したとて神は助けてはくれぬ。己の身は己で守らなければならない。無事に帰れたから良かったものの、駅から往復4キロ+休憩なしで境内を散策するは、あまり良い選択ではなかった。身体に氷菓子と冷凍ペットを当てがい、火照った肢体を冷却しつつ私は王子保(おおじほ)駅まで戻った。

 

福井駅前で大野行きのバスを待つ

その後一度福井へ戻り、大野市の宿に到着予定時刻の一報を入れた。聞けば「越前大野駅」で降りるより「大野六間(おおのろっけん)」での下車が宜しいというので、言われるまま私は福井からバスに乗り、疲れた身体を車体に預け目的の宿を目指した。数日前、警報級の大雨が降って「越美北線(えつみほくせん)」が不通となっていたのは当日現地で知ることとなったが、事前に調べて、福井から大野までバスで行けることを知っていたので、私は特に驚くことなく、交通手段の切り替えはスムーズそのものだった。そのバスも一部迂回路を通って、一部茶色い道路を走った。美山町は特に酷く、道路が川になったらしい。

 

20時前「大清水旅館」へお邪魔する

さて、これより「平泉寺白山神社」へ向かう足掛かりとして「大清水旅館」に前泊するが、ここで大変ありがたいおもてなしを受けたので、別の機会にまた筆を執ろうと思う。